声で魅せてよベイビー

声で魅せてよベイビー

『声で魅せてよベイビー』は、木本雅彦によって執筆された日本のライトノベル作品です。イラストはヤスが担当し、ファミ通文庫から2007年1月29日に刊行されました。本作は、第8回エンターブレインえんため大賞小説部門において佳作を受賞しています。

ストーリー

物語は、主人公である高校3年生の広野昌幸を中心に展開されます。広野は自らを「孤高のハッカー」と称し、日々ハッキング技術の向上に励んでいます。彼が心から尊敬するハッカーおっちゃんのOS解説書を手に入れるため、同人誌即売会に参加した際、アイドル声優を目指す専門学校1年生の姫野沙奈歌と出会います。ひょんなことから、二人は恋人ごっこをすることになるのですが、この奇妙な関係を通して、それぞれが成長していく姿が描かれています。

登場人物

広野 昌幸（ひろの まさゆき）

本作の主人公。草凪原学園に通う高校3年生で、孤高のハッカーを自認しています。進学校に通い、国立大学を目指す彼は、PDAのシステムを書き換えたり、無線ネットワークをクラッキングするなど、高校生としては非常に高いプログラミング能力を持っています。恋愛とは無縁の生活を送っていましたが、姫野との「恋愛ごっこ」を通じて、人間関係の大切さを学んでいきます。

姫野 沙奈歌（ひめの さなか）

本作のヒロイン。アイドル声優を目指す専門学校の声優科1年生。漠然とアイドル声優に憧れを抱く、ごく普通の腐女子です。広野との見栄から始まった関係や、先輩である椎名のストイックな生き方に触れるうちに、自分が本当にやりたいことを見つけ、それに向かって努力する姿勢を身につけていきます。

おっちゃん

広野にとってハッカーとしての師匠にあたる人物。年齢不詳。本名は熊原零一。同人誌即売会では「レイ」という通称でOSの解説本を販売しています。広野や姫野といった若者たちを、つかず離れずの距離で見守り、応援する典型的なハッカーです。

椎名 嬉理（しいな きり）

姫野が通う専門学校の先輩で、特待生。容姿端麗。声優としての実力も高く、洋画の吹き替えなど、本格的な声優を目指しています。内面的には孤高な一面を持ち、主人公の広野と似たタイプです。完璧主義者であり、声優だけでなく女優としての演技力もプロ並みであるため、声優プロダクションから熱心な勧誘を受けています。安易な気持ちで声優を目指す姫野に対し、厳しく接します。

大関 和義（おおぜき かずよし）

姫野が通う専門学校の先輩で特待生。椎名とは恋人関係にあるようですが、詳しい関係性は不明です。実力は申し分ないものの、精神的に脆い部分があり、姫野が失踪した際にはパニックに陥ってしまいます。劇団を主催するなど、リーダーシップがあり、人の気持ちを理解できる好青年です。

佐々木（ささき）

声優事務所「イーグレス」の社長。ロン毛が特徴で、「ハングリー」が口癖。椎名の才能を高く評価し、自社に引き入れようと画策します。そのためには手段を選ばず、椎名獲得のために姫野を誘惑して軟禁したり、舞台に駆けつけた広野に妨害された際には、高校生である広野に対し暴力を振るうなど、強引な一面を見せます。

山野辺（やまのべ）

姫野が通う専門学校の講師。一見すると親切な教師ですが、有望な生徒である椎名をイーグレスに入れるため、劇団の公演を失敗させるように佐々木社長に指示を出します。学校の利益を最優先に考えており、姫野のような出来の悪い生徒のことはあまり気にかけていません。

黒玉

姫野の負の感情が具現化した超常的な存在。真っ黒な球体で、目と口が付いています。自我を持ち、会話も可能で、好きな場所に出現できますが、広野以外の人間には見えません。痴漢の手を抑えたり、PDAを運ぶなど、微力ながら広野をサポートします。

既刊

* 木本雅彦（著）・ヤス（イラスト） 『声で魅せてよベイビー』 エンターブレイン〈ファミ通文庫〉、2007年1月29日発売、ISBN 978-4-7577-3328-2

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