売文社

売文社についての詳細

売文社（ばいぶんしゃ）は、1910年12月31日に設立され、1919年3月7日に解散した代筆および文章代理の団体です。この組織は、社会主義者である堺利彦の手によって設立されました。堺は「赤旗事件」の刑期を終えて出獄した後、「大逆事件」と呼ばれる社会主義運動への弾圧があった時期に、生活費を得るためだけでなく、全国の社会主義者の連絡網を維持する目的でこの団体を設立しました。

設立当初の売文社の所在地は、東京市四谷南寺町（現在の須賀町）であり、堺が社長を務めました。この団体には、大杉栄、荒畑寒村、高畠素之、山川均、橋浦時雄、和田久太郎、白柳秀湖、山口孤剣など、多くの著名な社会主義者が参加しました。売文社の活動の一環として、機関誌『へちまの花』が編集され、後に『新社会』と改題されました。

しかし、1918年に堺と高畠らとの間で内部対立が生じた結果、売文社は解散に至ります。業務の中心は代筆や文章代理であり、彼らは他の出版社と連携することによって出版物を提供する役割も果たしました。

出版物の一例

売文社は編集社として、さまざまな書籍の出版にも関与しました。1917年には、京橋堂から著名な作家たちの美辞名句集のシリーズを出版しました。これには三宅雪嶺、高山樗牛、近松巣林子、曲亭馬琴、徳富蘇峰、国木田独歩、樋口一葉といった日本国内の著名作家に加え、外国の作家の作品も含まれていました。

1919年には、売文社は文雅堂から『労働問題叢書』を刊行し、社会主義や労働問題に関する重要な議論を提供しました。また、1920年には、セシル・フェアフィールド・ラベルによる『国民生活の改造』が敬文堂書店から出版され、国際的な視点からの社会の変革についての考察がなされました。

売文社は1948年には再びその名が用いられることになりますが、この時は東京都千代田区に所在する出版者、藤田興次により、堺利彦の著作『社会主義大意』が刊行されました。これによって、売文社の名は再び日本の出版界に現れましたが、元の団体自体は堺の死去と共に消滅しました。

参考文献

売文社に関する詳細な情報や考察は、川口武彦による以下の著書から得ることができます。

• - 『日本マルクス主義の源流－堺利彦と山川均』、ありえす書房、1983年4月
• - 『堺利彦の生涯』下、社会主義協会出版局、1993年2月

以上のように、売文社は堺利彦によって設立された社会主義者の連絡団体として、社会の動向と深く関わりを持ちながら活動を展開してきました。

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