夏が来た! (キャンディーズの曲)

キャンディーズ「夏が来た!」

「夏が来た!」は、アイドルグループ「キャンディーズ」が1976年5月31日に発表した通算10枚目のシングル盤です。作詞・作曲・編曲は、それまでにもグループの多くのヒット曲を手がけてきた穂口雄右が担当しています。

制作の経緯と背景

この楽曲に関しては、長年にわたり、元々は男性歌手であるあいざき進也が歌唱する予定であったという説が流布していました。しかし、2013年に雑誌「昭和40年男」に掲載された穂口雄右へのインタビュー記事において、実際には女性歌手の青木美冴のために書き下ろされた楽曲であったことが初めて明らかにされました。ところが、制作途中で何らかの理由により、急遽歌い手がキャンディーズに変更されることになったのです。

歌唱アーティストがキャンディーズへと差し替えられた背景には、当時のキャンディーズが前作「春一番」で大きな成功を収め、その勢いに乗っていたことが影響しているとの見方もあります。この歌い手変更の経緯に対し、作曲者である穂口雄右は異議を唱え、本作への関与を最後に、キャンディーズの楽曲制作から一時的に距離を置くことになったとされています。

商業的成功と楽曲構成

本作は商業的にも成功を収めました。キャンディーズが解散する時点で行われた調査（CBS・ソニー調べ）によれば、シングル盤の累計売上枚数は26万枚を記録しています。

楽曲の特徴としては、ボーカルのハーモニー構造が挙げられます。サビの部分や楽曲中に挿入されるスキャットでは、メンバー3人の声が重なる3声のハーモニーが効果的に用いられています。一方、それ以外の歌唱パートでは、3人が同じ旋律を歌うユニゾン形式が採用されており、楽曲全体に変化と聴きやすさを与えています。

収録と参加ミュージシャン

シングルA面曲である「夏が来た!」は、シングルのリリースからほどなく、同年7月に発売されたキャンディーズの同名オリジナルアルバム『夏が来た!』にも収録されました。

シングルのB面には「ご機嫌いかが」が収録されています。こちらの作詞は森雪之丞、作曲・編曲は馬飼野康二が担当しました。楽曲の長さは「夏が来た!」が3分14秒、「ご機嫌いかが」が3分9秒となっています。

「夏が来た!」のレコーディングには、当時の日本の音楽シーンを支えた多くのスタジオミュージシャンが参加しています。確認されている主な参加メンバーとして、ギターに水谷公生、ベースに武部秀明、ドラムスに田中清司の名前が挙げられています。

主なカバーバージョン

海外でもこの楽曲はカバーされています。特に知られているのは、1984年に香港の歌手、洪靜文（ホン・ジンマン）が歌った広東語バージョン「太空鐵」です。このカバーは鄭錦富が広東語の歌詞を付けたもので、香港の亜洲電視（ATV）で放送された子供向け番組「太空鐵」の主題歌として制作されました。小人国製作中心が企画したアルバム『醒目仔時間歌曲精選』に収録されたほか、亜洲電視が閉局した後の2016年5月に発売されたメモリアルアルバム『亞視永恆』にも再収録されています。

関連事項

「夏が来た!」に関連する情報としては、これまでに発売されたキャンディーズのベストアルバム『GOLDEN☆BEST キャンディーズ』に収録されていること、また1976年の日本の音楽シーンを語る上で外せない楽曲の一つであることなどが挙げられます。なお、「夏が来た」というタイトルを持つ楽曲や作品は他にも存在するため、識別する際には注意が必要です。

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