夏にご用心

「夏にご用心」：桜田淳子、1976年を彩った夏の歌

桜田淳子が1976年5月に発表した通算15枚目のシングルとして世に出たのが、楽曲「夏にご用心」です。この作品は、発表当時から多くの人々に親しまれ、その年の桜田淳子の活動を象徴する一曲となりました。

シングルのA面を飾る「夏にご用心」は、作詞を阿久悠、作曲を森田公一という、当時の歌謡界を牽引するゴールデンコンビが手がけました。編曲は高田弘が担当し、楽曲にポップでキャッチーなサウンドを与えています。演奏時間は2分26秒と、当時のシングル曲としては比較的コンパクトにまとめられています。

この楽曲は、発表された年の年末、1976年12月31日に放送された『第27回NHK紅白歌合戦』にて、桜田淳子自身によって歌唱される運びとなりました。この年の紅白歌合戦は生放送で行われましたが、特筆すべきは、その際のバックコーラスです。日本の歌謡界を代表する実力派歌手である岩崎宏美、ちあきなおみ、由紀さおりの3名が特別にバックコーラスとして参加し、豪華な共演が実現しました。このパフォーマンスは、多くの視聴者の記憶に残るものとなりました。

一方、このシングルのカップリング曲、すなわちB面には「白い少女のバラード」が収録されています。こちらもA面と同じく、作詞を阿久悠、作曲を森田公一が手がけ、編曲は竜崎孝路が担当しました。演奏時間は3分41秒で、「夏にご用心」とは対照的に、バラードらしい叙情的な雰囲気を持ち合わせています。

「白い少女のバラード」は、単なるシングルのカップリング曲に留まらない重要な役割を担いました。この楽曲は、桜田淳子自身が主演を務めた映画『遺書 白い少女』の主題歌として起用されたのです。映画の内容と深く結びついたこのバラードは、作品の世界観を表現し、観る者の感動を深める要素となりました。主演女優が自ら主題歌を歌うという形式は、当時のアイドルや女優の活動においてしばしば見られましたが、この曲もまた、桜田淳子の表現者としての幅広さを示す一例と言えるでしょう。

「夏にご用心」とそのカップリング曲「白い少女のバラード」は、1976年の日本の音楽シーンにおいて、桜田淳子の存在感を確固たるものにした楽曲と言えます。阿久悠と森田公一による普遍的なメロディと歌詞、そしてそれぞれの楽曲に最適な編曲が施されたこれらの曲は、リリースから時を経ても多くの人々に歌い継がれています。

後に発売された桜田淳子のベストアルバム『GOLDEN☆BEST 桜田淳子』などにも収録されており、彼女の代表曲の一つとして今日でも容易に聴くことができます。これらの楽曲を通じて、1976年という時代の音楽の空気や、当時の桜田淳子の輝きを感じ取ることができるでしょう。このシングルは、単なるヒット曲というだけでなく、彼女のキャリアや当時の文化、そして映画との関連性など、多角的な視点から語り継がれる価値を持つ作品と言えます。

もう一度検索