夏井昇吉

夏井昇吉の生涯と業績

夏井 昇吉（なつい しょうきち、1925年10月19日 - 2006年9月13日）は、日本を代表する柔道家であり、講道館9段という高い段位を持つ選手でした。彼は21歳から柔道を始め、数々の大会で優勝を果たしました。現役を引退後も、柔道界の発展に寄与し続けました。

幼少期と柔道の始まり

夏井は秋田県男鹿市船川に生まれ、幼少期から優れた運動神経を持っていました。小学校時代は“わんぱく坊主”として知られ、高校ではラグビー部に所属し、特にロックとして活躍しました。この頃は柔道の経験がなかったものの、彼の体格の良さから柔道の試合に選手として出場することもありました。

第二次世界大戦中に卒業後、彼は小学校の教員として働いた後、徴兵され戦争に従事しました。終戦後、秋田に戻り、警察官としてのキャリアをスタートさせました。21歳の時に羽川益二郎7段の指導のもとで本格的に柔道を始め、わずか1年3ヵ月で講道館に入門することができました。

現役選手としての輝かしい経歴

講道館入門後、夏井は短期間で多くの大会で成果を上げました。特に1956年には第1回世界選手権大会に出場し、決勝戦で吉松義彦を破り、見事に優勝しました。この際には、全ての試合をわずかな時間で終わらせるという圧倒的な強さを見せ、彼は初代世界王者としての称号を手にしました。

さらに、1957年には全日本選手権大会でも優勝し、その勢いは衰えることがありませんでした。夏井の得意技である内股や体落、大外刈は、彼の身長174cm、体重100kgという体格から繰り出されるもので、相手を圧倒する力がありました。

引退後の活動と貢献

柔道選手としてのキャリアが一区切りつくと、夏井はオーストリアのウィーンで約1年間柔道の指導を行いました。その後、日本に戻り、警察官としての道を全うすることを選びました。彼の信念である“文武両道”は、秋田県警に今も伝承されています。

また、全日本柔道連盟の評議員や秋田県柔道連盟の会長を務めるなど、柔道界の発展にも力を注ぎました。地元の小学生選手権を支援する一方、全国女子体重別選手権を秋田に招致するなど、地域のスポーツ振興にも寄与しました。

最後の年と遺産

晩年には、東北柔道連盟の会長を務めながらも、趣味のゴルフを楽しむなど多忙な日々を送っていました。2006年9月13日に呼吸不全により逝去し、享年81歳でした。彼の名は、毎年開催される「夏井昇吉旗争奪全県選抜柔道大会」に冠され、今でも多くの人々に記憶されています。夏井昇吉の功績は、柔道界だけでなく、地域社会への貢献としても後世に受け継がれることでしょう。

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