夏時正

夏時正（か じせい）は、明代中期に活躍した官僚です。永楽10年（1412年）に生まれ、弘治12年（1500年）に88歳で亡くなりました。本貫は杭州府仁和県で、字（あざな）は時正、後に季爵と改めました。

夏時正は、夏誠の子として生まれました。正統10年（1445年）に進士に及第し、官僚としてのキャリアをスタートさせます。最初に任じられたのは刑部主事でした。景泰6年（1469年）には刑部郎中として福建地方の囚人記録を調査し、死罪に当たる者が多数いることを確認しました。その中には、死刑を減刑され、沿岸の軍で兵士として働いている者もいましたが、彼はこれらの者が後に海賊となることを懸念し、山東地方へ転地させることを進言しました。さらに、福建で死刑囚を減刑する際には、彼らを北方へ送って兵士とすることを提案しました。この措置は、法司からは詔に反する独断行為だと指摘を受けましたが、景泰帝はこれを特別に許しました。

天順初年には、大理寺丞に抜擢され、天順6年（1462年）には南京大理寺右少卿に転任しました。その後、成化4年（1468年）には南京太常寺少卿、成化5年（1469年）には大理寺卿と、順調に昇進を重ねます。成化6年（1470年）には、江西地方の被災地巡視を命じられ、そこで彼は、無名税の廃止や不必要な労役の削減、職務怠慢な官吏の罷免を進言しました。また、南昌府の贛江沿岸の堤防や豊城県の土手の増築にも尽力しました。しかし、成化7年（1471年）には弾劾を受け、官職を辞することになります。

退官後、夏時正は布政使の張瓚が建てた西湖書院に居住しました。その後、弘治11年（1498年）には布政司の楊峻に迎えられ、杭州の自宅に戻りました。弘治12年（1500年）に88歳でその生涯を閉じました。

夏時正は、その生涯を通じて多くの著書を残しました。その中には、『深衣考』、『三礼儀略挙要』、『太常志』、『杭州府志』、『留余稿』などがあります。これらの著作は、彼の学識と多才ぶりを示すものです。

夏時正は、官僚としてだけでなく、学者としても明代に大きな足跡を残しました。彼の事績と著作は、後世にまで伝えられています。

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