夕張炭鉱

夕張炭鉱の歴史

夕張炭鉱は、北海道夕張市に位置し、石狩炭田から石炭を採掘していた炭鉱です。狭義には、北海道炭礦汽船が開発した1889年から1977年までの本鉱を指しています。一方で、広義には、北炭が開発した周辺の新夕張炭鉱や夕張新炭鉱、平和炭鉱、真谷地炭鉱などの炭鉱群が含まれており、これらは collectively「夕張炭田」と呼ばれています。

夕張炭鉱は、製鉄用の優れたコークスの原料を採掘する重要な場所で、1960年代には20前後の鉱山が稼働していました。しかし、1970年代になると、ガス爆発の危険性や海外からの安価な石炭の輸入増加に伴い、競争力を失い閉山が相次ぎました。それでも、現在でも小規模ながら露天掘りによる採掘が続いています。

歴史の流れ

夕張炭鉱の歴史は1874年に遡ります。アメリカ人地質学者、ベンジャミン・スミス・ライマンが夕張川の上流で石炭層の存在を推定したことが始まりです。1888年には、坂市太郎がシホロカベツ川上流で大きな石炭露頭を発見しました。そして1889年に北海道炭礦鉄道会社が組織され、夕張採炭所が設立され、1892年には本格的に採炭が始まりました。この時期、鉄道も開通し、輸送が可能になりました。

その後、1900年代の初めには、色々な炭鉱の開発が進み、新夕張炭鉱や真谷地炭鉱のオープンが相次ぎました。ところが、1908年には新夕張炭鉱で大きなガス爆発が発生し、93人もの命が奪われる惨事が起こりました。

安全問題と労働環境

開山当初から続いたガス爆発事故は、炭鉱業の中で特に過酷な環境を象徴しています。事故が頻発し、特に戦前の記録は詳細を欠いているため、正確な死者数や事故の背景を把握することは困難です。1945年には、朝鮮人の炭鉱労働者が待遇改善を求めてストライキを実施するなど、労働環境に対する不満も高まっていました。

鉱山の閉山過程

夕張炭鉱が最盛期を迎えた1960年代以降、次第に閉山が進行します。「夕張炭鉱」という名前の下で活動していた他の鉱山も1970年代に次々と閉山し、1977年には最終的に狭義の夕張炭鉱がすべて閉山を迎えました。1978年以降は、炭鉱の歴史を記憶するための「石炭の歴史村」の建設が進められました。

現在の状況

現在、夕張市では長い歴史を経た炭鉱の跡地において、コールベッドメタンの試掘が行われるなど、炭鉱の貴重な遺産を活かした新しい試みが進められています。過去の教訓を生かし、安全な採掘や環境への配慮を重視した運営が求められています。こうした取り組みを通じて、夕張炭鉱での歴史を未来に繋げていくことが重要とされています。

もう一度検索