外祖父

外祖父（がいそふ）とは

外祖父とは、ある人物から見て母親の父親、つまり母方の祖父にあたる人物を指します。

天皇の外祖父

律令時代

律令時代においては、天皇の母方の祖父にあたる外祖父は、尊崇の対象となり、位階や官職において優遇されることがありました。例えば、陽成天皇の外祖父である藤原長良は、天皇即位時には既に亡くなっていましたが、太政大臣を追贈されています。720年から995年までの間に太政大臣を追贈された17人のうち、10人が天皇の外祖父であったことからも、その重要性が伺えます。

平安時代

平安時代には、藤原氏が天皇の外祖父として権勢を振るうことがありました。藤原良房は、文徳天皇に娘の明子を入内させ、明子と文徳天皇の間に生まれた清和天皇が9歳で即位すると、太政大臣、次いで摂政として政治の実権を握りました。また、藤原兼家は円融[[天皇]]に娘の詮子を入内させ、その子の一条[[天皇]]の摂政となりました。兼家の子である藤原道長も、一条[[天皇]]に娘の彰子を入内させ、その子の後一条[[天皇]]の摂政を短期間務めています。

しかし、平安時代において、外祖父という立場によって摂政に就任したのは、上記の3例のみです。

延久3年（1073年）には、白河天皇の外祖父である藤原能信に太政大臣が追贈されました。これは、醍醐天皇の外祖父である藤原高藤に追贈されて以来、173年ぶりのことでした。この頃から、天皇の外祖父に太政大臣が追贈されることが先例となり、この頃成立したとされる『大鏡』には、太政大臣になる要件として、天皇の外祖父、または舅であることが挙げられています。寛治3年（1089年）には、堀河[[天皇]]が元服することになり、摂政である藤原師実が加冠役として太政大臣に叙任されましたが、その際の宣命には、天皇の外祖父であることが明記されていました。しかし、家格としての摂家の成立により、外祖父を含めた外戚関係は摂関の地位とは無関係となっていきました。

平安時代末期～鎌倉時代

平清盛は、娘である徳子を高倉天皇の中宮とし、その間に生まれた言仁親王は、生後間もなく立太子されました。治承三年の政変によって後白河法皇の院政を停止させた清盛は、治承4年（1180年）に言仁親王を満1歳4か月で即位させ（安徳天皇）、その外祖父となっています。

鎌倉時代には、九条道家が四条[[天皇]]の外祖父となって権力を振るいましたが、四条[[天皇]]は12歳で夭折しています。

江戸時代～現代

江戸時代には、後水尾天皇が徳川和子との子である明正天皇に譲位したため、大御所徳川秀忠が天皇の外祖父となりましたが、この譲位は秀忠らの望んでいたものではありませんでした。

即位の時点で外祖父が健在であった最後の天皇は明治天皇であり、生母である中山慶子の父、中山忠能は1888年（明治21年）まで存命していました。現在の上皇の外祖父は、母である香淳皇后の父、久邇宮邦彦王ですが、出生時には既に故人でした。また、今上天皇の外祖父は、母である上皇后美智子の父、正田英三郎ですが、既に故人です。

このように、天皇の外祖父は、時代によって様々な影響力を持っていました。

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