外貨建取引等会計処理基準

外貨建取引等会計処理基準について

外貨建取引等会計処理基準とは、企業会計審議会が公表した、外国通貨建て取引に関する原則や基準のことです。この基準は、企業が財務諸表を作成する際に必要となる、外国通貨で表示される項目の円換算方法について指針を提供します。外貨建取引は、国際的なビジネスの中で広く行われているため、この基準は企業にとって非常に重要なものとなっています。

制度の概要

この基準の主なポイントは以下の3つに集約されます。

1. 換算相場（換算レート）

換算相場は大きく3つのタイプに分類され、財務諸表の項目ごとにそれぞれ異なる為替レートを用いて円換算が行われます。特に決算時の為替相場は、時価を持つ資産や現預金、金銭債権などに用いられることが重要です。

• - 決算時の為替相場（CR：Current Rate）：決算期末の為替相場。
• - 期中平均相場（AR：Average Rate）：決算期末月や半期などを対象に、為替相場の平均値を算出したもの。
• - 取引発生時の為替相場（HR：Historical Rate）：実際の取引が行われた際の為替相場。

2. 換算方法（個別財務諸表）

換算の結果、発生した為替差額は、その期の為替差損益として処理されます。収益や費用は、取引が発生した際の為替相場（HR）で換算することが基本ですが、期中の平均為替相場（AR）を用いることも許容されています。

資産や負債、特に時価を有する資産や現預金、金銭債権、デリバティブ取引などについては、毎回の決算時における為替相場（CR）で認識される必要があります。具体的には、以下の項目が該当します：

1. 現金及び預金
2. 金銭債権
3. デリバティブ取引等の金融商品
4. 有価証券（子会社や関連会社株式を除く）を決算時の為替相場（CR）で換算します。

子会社と関連会社株式は取得時の為替相場（HR）で換算されます。時価を持つ棚卸資産の場合は、取引発生時の為替相場（HR）で換算します。また、「前払費用」や「前受金」といった費用性資産や収益性負債は取引発生時の為替相場（HR）で換算されます。

3. 在外子会社等の換算方法（連結財務諸表）

もし子会社の財務諸表が外貨で表示されている場合、連結決算ではその内容を円換算する必要があります。この場合、換算によって生じた差額は為替換算調整勘定に計上されます。

通常は、費用や収益は期中の平均相場（AR）が使用され、資産や負債は決算時の為替相場（CR）が用いられます。純資産については取引発生時の為替相場（HR）が適用されますが、繰越利益剰余金に関しては期中平均相場（AR）が使用されます。

まとめ

外貨建取引等会計処理基準は、企業における外貨建取引の円換算に関する重要な規定です。これにより企業は財務諸表を正確に作成し、投資家や他の利害関係者に透明性のある情報を提供することが可能となります。

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