多久駅

多久駅は、佐賀県多久市北多久町に位置する、九州旅客鉄道（JR九州）が運行する唐津線の駅です。

歴史

この駅の歴史は古く、明治時代後期の1899年12月25日、唐津興業鉄道（後に唐津鉄道となる）の駅として、「莇原（あざみばる）駅」の名で営業を開始しました。その後、路線は国鉄に編入され、昭和初期にあたる1934年4月1日には、現在の駅名である「多久駅」に改称されました。
長らく有人駅として機能していましたが、昭和後期の1983年9月30日には駅員の配置が廃止され、一時無人駅となります。その後、国鉄の分割民営化という大きな節目を迎え、1987年4月1日にはJR九州へとその管轄が移りました。2000年代に入り、駅周辺で進められていた土地区画整理事業との連携により、駅施設の大規模な改築と移転が実施されます。2008年1月27日には、現在の橋上駅舎を持つ新駅舎での営業が開始され、旧駅舎や従来の線路の撤去作業が進められました。駅前の地域交流拠点となる「まちづくり交流センターあいぱれっと」がオープンしたのは2014年8月6日のことです。そして、近年である2020年3月14日からは、駅窓口業務が終了し、終日無人駅体制へと移行しています。

駅構造

多久駅は、地上に設けられた線路に対し、その上を跨ぐように建設された橋上駅舎を持つ構造です。ホームは島式タイプが1面配置されており、その両側に合わせて2本の線路が敷かれています。このホームと線路の配置により、列車が当駅で折り返す運転も可能な構造となっています。原則としては、1番のりばが唐津・西唐津方面への上り列車に、2番のりばが山本・佐賀方面への下り列車に使用されますが、夕方などの混雑時には当駅を始発・終着とする列車も運行されるため、実際の使用状況には例外も多く見られます。新駅舎にはバリアフリー設備としてエレベーターが複数設置されており、北口側、南口側、そして改札口とホーム階を結ぶ箇所にそれぞれ1基ずつ、合計3基が稼働しています。駅は現在、係員が配置されない無人駅として運営されています。

駅の変遷と周辺整備

多久駅の現在の場所への移転は、1994年から多久市が主体となって進めている駅周辺土地区画整理事業の重要な一環として行われました。2008年1月27日の新駅開業以降も、駅周辺では開発が進められており、道路の拡幅工事などが実施され、街並みが変化しています。かつて駅舎が存在した場所は現在更地となり、旧駅に繋がっていた線路の大部分も既に撤去が完了しています。周辺の整備計画には、2009年1月に解体された旧名店街跡地の活用や、旧駅のロータリー付近への昭和バスの新しい発着所建設といった構想も含まれており、今後も駅周辺の利便性向上が期待されています。

利用状況

近年の多久駅の利用状況については、2019年度のデータによると、一日あたりの平均乗車人員は339人でした。

駅周辺

多久駅周辺は、住宅地域も見られますが、唐津寄りの隣駅である中多久駅周辺と比較すると、商工業関連の施設が多く集まっているという特徴があります。かつては駅前に賑やかな商店街も存在しました。なお、多久市の市役所庁舎は、当駅ではなく中多久駅の方が地理的に最寄りの駅となります。
駅の北側には、車での利用者のために24時間駐車可能な市営の駐車場が整備されています。また、駅の東側、線路に沿って少し離れた場所には、この地域の産業の歴史を物語る遺構が残されています。これは、1968年に閉山した三菱古賀山炭鉱で使用されていたコンクリート製のホッパー（石炭を貨車に積み込むための設備）です。
この他にも、駅周辺には様々な施設が立地しています。

北多久郵便局
佐賀銀行多久支店、佐賀共栄銀行多久支店
天徳寺、多久聖廟、西渓公園（歴史・文化・自然関連施設）
まちづくり交流センター「あいぱれっと」（ホール、会議室、図書ラウンジ、多目的広場などを備える複合施設）
多久市ふるさとハローワーク
村岡屋あいぱれっと店、インテリア雑貨店「SCOL&S」、でんでんカフェなどの商業施設
高齢者福祉相談所「てんじゅ」
主要幹線道路である国道203号線

バス路線

多久駅はバス交通との結節点でもあり、駅の北側ロータリー内に「多久駅北口」バス停が設置されています。ここからは昭和バスが多方面への路線を運行しています。主な行先としては、武雄温泉駅方面、厳木・相知・山本・大手口方面、そして多久市役所を経由して佐賀駅バスセンター方面への路線などがあります。また、多久市内を運行するコミュニティバスである「ふれあいバス」も、全路線がこのバス停を発着しており、市民の日常の移動手段として利用されています。

隣の駅

JR九州唐津線
中多久駅 - 多久駅 - 厳木駅

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