多摩橋

多摩橋は、東京都福生市とあきる野市の間を流れる多摩川に架かる、全長202メートルの橋です。東京都道7号杉並あきる野線、通称五日市街道の一部を担っています。この橋は、PC4径間連続箱桁橋という形式で建設されており、その特徴的な構造が、地域の交通を支える上で重要な役割を果たしています。

橋の具体的な構造を見てみましょう。橋の全長は202メートルで、支間割は50メートル+50.3メートル+50.3メートル+50メートルとなっています。有効幅員は11.5メートルで、車道部分が7.5メートル、そして両側にそれぞれ2メートルの歩道が設けられています。この橋は、プレキャスト・ブロック工法という特殊な技術を用いて架設されました。これは、あらかじめ工場で製作したコンクリートのブロックを現場で組み立てることで、工期の短縮や品質の向上を図る工法です。

多摩橋の歴史を紐解くと、この場所には古くから渡し場が存在していました。1760年には熊川村が管理する牛浜の渡しがあり、その後、1875年には永田橋と共に官営の渡しとなりました。1890年、多摩川の流れが変わったことで、管理は対岸の草花村に移り、森山の渡しと呼ばれるようになりました。そして1925年、初めて永久橋となる鉄筋コンクリート桁橋が完成しました。この橋は全長202.1メートル、幅5.4メートルで、8つの径間を持つ構造でした。しかし、第二次世界大戦後、米軍による川砂利の乱掘が原因で、1948年に橋が流失してしまいます。その後、仮橋が架けられ、現在の橋は1969年に建設が始まり、1970年3月に開通しました。この時、最新技術であったプレキャスト・ブロック工法が採用されたのです。

多摩橋は、地域の歴史と技術の進歩を今に伝える重要な存在です。日々の交通を支えるだけでなく、かつての渡し場の記憶を留め、地域の人々の生活を見守り続けています。

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