五日市街道

五日市街道の歴史と変遷

五日市街道は、東京都の多摩地域を東西に横断する主要な街道であり、現在の東京都道7号杉並あきる野線とほぼ一致しています。この街道は、江戸時代初期に徳川家康の江戸入府後、五日市（現在のあきる野市）や檜原から木材や炭などの資源を江戸へ運ぶために整備されました。

当初は「伊奈道」と呼ばれ、伊奈（五日市より東の集落）の石材を扱う石工たちが江戸城の修築のために往来する道として利用されていました。しかし、江戸城の修築が完了し、木炭輸送が主流になると、伊奈よりも五日市の重要性が高まり、街道の名前も五日市街道へと変化していきました。

武蔵野台地の新田開発が進むにつれて、五日市街道は多摩地域と江戸を結ぶ重要な街道の一つとして発展しました。人々や物資の往来が活発になり、街道沿いには宿場や商店などが形成され、地域の経済や文化の発展に大きく貢献しました。

旧道の面影

現在の五日市街道は、都道7号線として整備されていますが、一部区間では新道が開通し、旧道が残っています。以下に、主な旧道とその特徴を紹介します。

起点付近: 現在の新高円寺駅近くの「五日市街道入口」交差点が起点とされていますが、これは1999年に開通した新道で、それ以前は100mほど西の交差点が起点でした。大法寺前で新旧道が合流します。
七曲り: 杉並区成田東二丁目から高井戸東四丁目にかけての善福寺川付近の区間は、「七曲り」と呼ばれる難所でした。蛇行する旧道の中央を、緩やかなカーブを描く現道が貫いています。旧道は現道の歩道や杉並区道として部分的に残されており、高井戸東四丁目17番には、杉並区教育委員会が設置した石碑があります。
千川上水・玉川上水: 武蔵野市から小平市にかけての千川上水・玉川上水沿いには、水路の両岸に道があります。どちらが街道の本線だったかは時代によって異なります。現道は小平十小北交差点で左に折れて玉川上水から離れますが、旧道は300mほど直進してからクランク状に曲がって合流します。
横田基地: 1956年の横田基地拡張に伴い、立川市と福生市に跨る地域が米軍に接収されました。このため、五日市街道は分断され、西砂町宮沢付近から基地の南側を迂回し、拝島駅付近で国道16号に合流する経路に変更されました。立川西砂町郵便局付近には、旧道と現道が分岐する交差点があります。旧道は直進方向、現道は左に曲がる道です。国道16号の第五ゲート前交差点で、旧来の街道に合流します。
多摩川: 現在は多摩橋で多摩川を渡りますが、かつては「牛浜の渡し」と呼ばれる船渡しが行われていました。多摩橋の先でも、現道は南側を迂回していますが、旧道は河岸段丘を直登しています。
秋川: あきる野市高尾付近では、現道は新秋川橋と五日市橋で秋川を渡り直線的に進みますが、旧道は秋川に沿って北側を迂回しています。

沿線の主な施設

五日市街道沿いには、数多くの施設があります。以下に主なものを紹介します。

杉並区: 新高円寺駅、東京都立豊多摩高等学校、関東バス五日市街道営業所、善福寺川公園、高井戸警察署、東京都立西高等学校、西荻窪駅
武蔵野市: 吉祥寺駅、藤村女子中学校・高等学校、成蹊学園（成蹊大学、中学校・高等学校、小学校）、関東バス武蔵野営業所
西東京市: 武蔵野大学（武蔵野女子学院中学校・高等学校）
小金井市: 法政大学小金井キャンパス、小金井公園
小平市: 文化学園大学小平キャンパス、小平団地、陸上自衛隊小平駐屯地、一橋学園駅
国分寺市:
立川市: けやき台団地、砂川七番駅、昭和記念公園、武蔵砂川駅、西武立川駅、松中団地
昭島市: 拝島駅
福生市: 横田飛行場（在日米軍横田基地）、牛浜駅
あきる野市: 都立秋留台公園、秋川駅、武蔵五日市駅、西東京バス五日市営業所

これらの施設は、地域の生活や文化を支える上で重要な役割を果たしています。

関連情報

五日市街道に関連する情報として、以下のものがあります。

東京都道7号杉並あきる野線
新五日市街道

五日市街道は、歴史と文化が息づく道として、現在も地域の人々に利用され続けています。その歴史を辿ることで、多摩地域の発展を知ることができます。

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