多楽島

多楽島（たらくとう）

多楽島は、歯舞群島に属する島の一つで、「トラク」という名前で知られることもあります。ロシアではパロンスキー島と呼ばれており、英語表記はPolonskogoです。この島の名称はアイヌ語に由来し、古くは「トララ・ウク（安物の皮を取る島）」から転じたものと言われています。アイヌ民族はアザラシの皮を利用し、その豊富な資源のため、この地域には長い間、彼らの生活が根付いていました。

地理的特徴

この島は歯舞群島の最北部に位置しており、その最高地点でも海抜30メートル程度です。多楽島の地形は非常に平坦で、樹木の生育はほとんど見られません。戦前には231世帯、合計で約1,457人の住民が暮らしていたとされていました。良港が存在しないため、ここでは昆布漁やその他の海藻採取が主な生業となっていました。また、牛や馬の放牧も行われ、農業的な活動が行われていました。

歴史的背景

多楽島に関する記録は江戸時代まで遡ります。この時期、島の周囲は約5里14丁で、平坦であるものの中部は若干高く、海岸は岩がちでした。当地は豊かな海産物が存在し、アイヌの人々が長い間、ここに定住していたことが伺えます。1799年に、根室と厚岸のアイヌたちがこの島を入会地として利用し、そこから明治時代には珸瑶瑁村の一部となり、やがて歯舞村に編入されました。

1945年にはソ連軍によって占領され、1959年には日本側の一部とされることとなりました。しかし、1991年にソビエト連邦が崩壊した際、ロシア連邦が実効支配を継承します。現在も日本は領有権を主張しているものの、ロシア連邦による占領状態が続いており、沿岸警備隊が常駐しています。

戦後の長い間、無人島とされていましたが、2009年にはロシア人が2007年から在住していることが発覚しました。このような状況から、多楽島は現在も注目されている地域であり、領有権を巡る議論が続いています。

資料と参考文献

多楽島について更に知りたい方は、以下の文献を参考にしてみてください：

• - 『北方領土地名考』（北方領土問題対策協会編、1978年）
• - 日本歴史地名大系（オンライン版）
• - 『北方領土関係資料総覧』（行政資料調査会北方領土返還促進部、1977年）

また、地域の名物として「ひょうたんぱん」があり、これは過去に多楽島で販売されていたもので、旧島民たちに愛されています。近年は「北方領土の日」に配布されることも多く、その歴史を感じることができる一品です。多楽島はその独自の地理、歴史、文化を持つ貴重な地域であり、今後も引き続き注目され続けることでしょう。

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