多田文久三

多田文久三の生涯と業績

概要

多田文久三（ただ ふくぞう、1921年7月8日 - 2006年9月1日）は、兵庫県西宮市出身のプロ野球選手で、投手や捕手として活躍し、その後はコーチや評論家としても知られる存在です。

幼少期からプロ入りまで

多田は高松商業高校に在学中に、最初は捕手としてプレーしていましたが、その強肩が認められ、上級生に進むにつれ投手にコンバートされました。1939年には春・夏の甲子園に連続出場し、夏にはベスト8に進出。再び3年生となった1940年も春の甲子園で同じくベスト8まで進み、その後のプロ野球界への道を切り開くこととなりました。

現役時代

1941年に東京巨人軍に入団し、以降はさまざまな役割を担うことになります。1942年には捕手も兼任し、1943年には正捕手となりますが、技術面では苦労しました。エースの藤本英雄からの信頼を得るための努力が必要でした。1943年11月、応召により軍隊に入隊しますが、戦後に職業野球が再開する際には早々に東西対抗戦に出場し、いち早く正捕手へと復帰。

1946年、再び巨人に戻り、全試合に出場。一時は捕手として、また投手としても活躍し、1947年からは投手に再コンバートされ、1949年にはリーグで防御率3.34を記録しました。特に1950年までの間は、4年連続で二桁勝利を挙げたことで評価が高まりました。

指導者としてのキャリア

引退後、多田はパ・リーグの審判員として活動し、その後近鉄の一軍投手コーチを1年間務めます。その後1961年から1966年まで東映フライヤーズの一軍投手コーチとして、多くの選手を育成し、球団初のリーグ優勝と日本一に貢献しました。

特徴とスタイル

多田の投球スタイルは、強肩と速球に特徴があり、速球のスピードはエースである川崎徳次よりも優れていたと言われています。ただし、試合終盤になるとスタミナが切れることが多く、持続力に課題を抱えていました。

逸話とエピソード

多田の生涯には多くの逸話があります。その一つに、食あたりで登板できなくなった日に、代わりに登板した藤本英雄が日本プロ野球史上初の完全試合を達成したというエピソードが残っています。また、1954年にはインフィールドフライについての混乱があり、試合が中断される事態にもなりました。

引退後の生活

多田は1970年から横浜市の企業に勤務し、その後は長い人生を全うしました。彼の存在は、日本のプロ野球史において忘れられない人物となっています。多田文久三は、選手としての成功や指導者としての手腕を通じて、日本プロ野球の発展に寄与した重要な存在でした。

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