多目的補給モジュール

多目的補給モジュール（MPLM）とは

多目的補給モジュール（Multi-Purpose Logistics Module : MPLM）は、スペースシャトル計画において、国際宇宙ステーション（ISS）との間で物資の輸送を担った与圧コンテナです。シャトルの貨物室に搭載され、ロボットアームによってISSの結合部（ユニティやハーモニー）に接続されました。ISSでは、食料や実験装置などの物資が運び込まれ、実験後の機器や廃棄物などが積み込まれ、再びシャトルで地球へと帰還しました。

MPLMの概要

MPLMは、NASAとイタリア宇宙機関（ASI）との契約に基づき、ASIが製造しました。3基のMPLMがNASAに引き渡され、それぞれ「レオナルド」「ラファエロ」「ドナテロ」と、イタリアの歴史的な偉人の名前が付けられています。MPLMの所有権はNASAにありますが、ASIは製造と引き換えに、ISSでのアメリカの研究時間を利用する権利を得ました。

MPLMは、当初は宇宙ステーション「フリーダム計画」のために設計されました。当初はボーイング社が製造を担当する予定でしたが、1992年にASIが4500kgの積荷を運搬可能な小型の「与圧補給モジュール」の建造を発表しました。その後1993年に設計が見直され、長さが2倍になり、「多目的補給モジュール」と改名されました。

MPLMのサイズは、空の状態で全長約6.4m、直径約4.6m、質量約4.5トンで、10トンまでの積荷をISSに輸送することができました。

各MPLMの特徴

3基のMPLMのうち、「ドナテロ」には他の2基にはない特別な機能が備わっていました。それは、ISSに搬入するまで電力供給が必要なペイロードを輸送できるという点でした。しかし、スペースシャトル計画の見直しと費用削減のため、「ドナテロ」は一度も使用されることなく引退しました。

一方、スペースシャトルの退役に備え、「レオナルド」には宇宙デブリ対策のシールドなどの改造が施され、恒久型多目的モジュール（Permanent Multipurpose Module : PMM）としてISSに設置されることになりました。PMM「レオナルド」は、2011年2月24日にスペースシャトル・ディスカバリー（STS-133）によって打ち上げられ、ISSの結合部であるユニティの地球側に設置され、主に物資の保管場所として利用されています。

MPLMの主な仕様

全長：6.4m
直径：4.57m
質量：
空積時：4,082kg
積載時：13,154kg

補足

MPLMは、ISSへの物資補給において重要な役割を果たしました。特に、PMMとなった「レオナルド」は、ISSの長期運用を支える上で不可欠な存在となっています。

関連情報

Multi Purpose Logistics Module -- NASA （英語）
* 多目的補給モジュール (レオナルド、ラファエロ、ドナテロ) -- JAXA （日本語）

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