多相睡眠

多相睡眠とは

多相睡眠（Polyphasic sleep）とは、一日の中で複数回に分けて睡眠を取ることを指します。これは、かつて人工照明が普及する以前の人類や、動物において一般的な睡眠パターンであったと考えられています。多相睡眠は、睡眠時間を細かく分割することで、全体的な睡眠時間を短縮し、活動時間を増やすことを目的とする場合があります。

2相睡眠（Biphasic sleep）

電気照明が普及する以前の中世・近世ヨーロッパでは、人々は夜間の睡眠を「第1睡眠」と「第2睡眠」の2回に分けていました。夜に眠りにつく最初の睡眠を「第1睡眠」、夜中に一度目が覚めてから再び眠りにつく睡眠を「第2睡眠」と呼んでいました。

短い日照時間（10時間以下）の冬の期間には、人々は自然と2相睡眠に適応していました。人工照明のない生活環境下では、人間の睡眠パターンは2相睡眠へと移行することが示唆されています。

各地の名称

中世英国: 第1睡眠 (first sleep / dead sleep)、第2睡眠 (second sleep / morning sleep)
ロマンス語諸語: 第1睡眠 (premier sommeil / premier somme, primo sonno, primo somno / comcubia nocte)
ナイジェリアティヴ族

第1睡眠と第2睡眠の間の覚醒状態は、フランス語で「dorveille（睡眠と覚醒の間）」と呼ばれていました。

睡眠パターンの比較

多相睡眠には、様々なパターンが存在します。代表的なものとして、以下のようなものが挙げられます。

2相睡眠: 夜間の睡眠を2回に分割するパターン。
Everyman: 夜間にコアとなる睡眠を取り、日中に短い仮眠を複数回取るパターン。
Uberman: 24時間を通して、2〜4時間おきに短い仮眠を取るパターン。
Dymaxion: 1日に4回、各30分の睡眠を取るパターン。

これらのパターンは、個人の生活リズムや目的に合わせて調整されることがあります。

多相睡眠に関する議論

多相睡眠は、睡眠時間を短縮し、活動時間を増やす可能性がある一方で、睡眠不足による健康への影響や、社会生活との両立の難しさなど、様々な議論があります。多相睡眠を試みる場合は、専門家のアドバイスを受け、慎重に検討することが重要です。

関連項目

レム睡眠
シエスタ
概日リズム
睡眠
概日リズム睡眠障害

参考文献

Warren, Jeff (2007). “The Watch”. The Head Trip: Adventures on the Wheel of Consciousness. Toronto: Random House Canada. ISBN 978-0679314080
Jean Verdon, Night in the Middle Ages, trans. George Holoch (2002). ISBN 026803656X.

外部リンク

Polyphasic Sleep: Facts and Myths – Dr. Piotr Wozniak
PolyphasicSleep.info
Miles to Go Before I Sleep at Outside.com
Poly-phasers – an online polyphasic community
TryPolyphasic.com – an active online polyphasic community
Sleep We Have Lost: Pre-industrial Slumber in the British Isles
Library of Congress Webcast - At Day's Close: Night In Times Past
Slumber's Unexplored Landscape: People in traditional societies sleep in eye-opening ways
New York Times, Richard A. Friedman, M.D., March 14, 2006, Wake Up and Smell the Savanna
Coturnix, ScienceBlogs Includes image of original data, Wehr's experiment
* ジェッサ・ギャンブル 「自然な睡眠周期」の講演映像 - TEDカンファレンス

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