多羅尾光俊

多羅尾 光俊の生涯

多羅尾光俊（たらお みつとし）は、戦国時代から安土桃山時代にかけて活躍した近江国の武将です。彼は近江国甲賀郡信楽荘小川の国人であり、その父親は多羅尾光吉とされています。母は若江三人衆の一人、池田教正の娘であることが伝えられていますが、教正に関する記録は光俊が1514年に生まれてから約50年後の1560年代に初めて確認されるため、この家系の関係には謎が多く残っています。

光俊は、文正元年（1466年）の記録に見ることができ、同じく「四郎兵衛」を名乗る多羅尾四郎兵衛嗣光とのつながりから、彼の末裔と推測されています。当初、光俊は織田信長に仕官し、その後しばらくの間、信長の軍に従事していました。しかし、天正10年（1582年）に発生した本能寺の変を境に、彼の運命は大きく変わります。

本能寺の変時、堺にいた徳川家康が帰国する際、光俊の五男である山口光広が家康と同行していた長谷川秀一と交流を持っていたため、光俊はこの機会を利用し、家康を援護する決定を下します。嫡男の光太と共に信楽領に家康を招待し、子供たちである光雅や光広に甲賀衆を付けて、伊賀越えの際の警護を行ったのです。

この伊賀越えの功績により、天正12年（1584年）、光俊は山城や近江に所領を受け取ります。この動きは、河内や山城を経由して行われたことから、前述の多羅尾綱知や光信との関係が深められた可能性も指摘されています。その後、光俊は豊臣秀吉に仕官し、豊臣秀次に於萬の前を側室として送るなど、信楽や近江、伊賀、山城、大和といった地域に計8万石の領地を持つようになりました。

しかし、秀次が失脚した際には、その影響を受けて光俊も改易されることとなり、信楽に虫居の地に蟄居する身となりました。そして、慶長14年（1609年）に彼はこの世を去りました。

多羅尾光俊の生涯は、戦国時代の激動の中での武士としての役割や、信長や秀吉といった大名との関わり、そして家族との絆など様々な要素を含む、非常に興味深いものです。彼の存在は、近江国の歴史においても重要な位置を占めており、その功績は今でも語り継がれています。

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