多聞院 (新宿区)

多聞院牛込不動

多聞院牛込不動（たもんいんうしごめふどう）は、東京都新宿区に所在する真言宗豊山派の寺院で、400年以上の歴史を持つ古刹である。その山号は「照臨山」、寺号は「吉祥寺」であり、本尊には大日如来が祀られている。この寺院は奈良県桜井市にある長谷寺を総本山とし、弘法大師（空海）が宗祖とされる。

歴史の背景

多聞院は、室町時代末期から安土桃山時代にかけての天正年間（1573～1593）に、覺祐上人によって設立されたと伝えられている。特に有名なのは、正等和尚（1703～1774）が住職を担い、弘法大師に縁のある寺院を巡る四国八十八ヶ所の遍路に倣い、江戸近郊の寺院を対象にした御府内八十八ヶ所霊場を開設したことだ。この取り組みは、信仰の広がりを後押しし、多くの人々に親しまれてきた。

霊場としての役割

多聞院牛込不動は、御府内八十八ヶ所霊場の第31番目に位置づけられており、この霊場巡りは信者を惹きつける大きな要素となっている。境内には、江戸時代のお名士である琵琶法師・吉川湊一の墓（新宿区登録史跡）や、大正時代の女優・松井須磨子の墓も所在する。

年間行事

多聞院では、年間を通じて様々な行事が催される。特に「花まつり」は4月8日に行われ華やかな雰囲気で執り行われる。また、施餓鬼法要は5月24日に実施され、多くの参拝者が訪れる。年末には、12月31日から1月1日の間に除夜の鐘も鳴らされ、訪れる人々に新年の訪れを告げる。この他、本堂や山門のライトアップイベントなども定期的に開催されており、地域住民や観光客にとって重要な文化の場となっている。

アクセスと周辺環境

多聞院は外苑東通りに沿って位置しており、交通の便も良い。都営地下鉄大江戸線の牛込柳町駅から徒歩5分、また東京メトロの東西線からは早稲田駅まで徒歩8分、神楽坂駅まで徒歩9分でアクセス可能である。さらに、都営バスの路線も通っており、牛込弁天町や牛込保険センター前からは徒歩2分と、非常に便利な立地である。

周辺には草間彌生美術館などもあり、文化や芸術を楽しむためのスポットとしても知られ、半径1km以内には神楽坂や早稲田、牛込神楽坂などのエリアが点在している。

まとめ

多聞院牛込不動は、その歴史的な価値に加え、年間を通じて楽しめる多彩な行事や地域文化の発信地となっている。訪れる際は、豊かな信仰と歴史的な語りに触れながら、有意義な時間を過ごしてはいかがだろうか。

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