多賀火山

多賀火山とは

多賀火山は、伊豆半島の北東部に位置する火山であり、その周辺には湯河原火山、宇佐美火山と連なる山々が広がっています。これらの火山群は、伊豆半島がフィリピン海プレートに乗って本州に衝突し、隆起して半島を形成する過程で誕生しました。

火山の形成と特徴

これらの火山は、形成当初は標高1000mを超える成層火山であったと考えられています。しかし、長い年月を経て浸食が進み、現在では西側の斜面にわずかにその面影を残す程度となっています。3つの火山の中では、南に位置する宇佐美火山が最も古く、北に位置する湯河原火山が最も新しいとされています。湯河原火山の北側は、現在も活動を続ける箱根火山へと繋がっており、これは伊豆半島の火山活動が南から北へと移動したことを示唆しています。

研究と命名

これらの火山群の研究は、1930年代に当時の東京大学教授であり、後に日本火山学会会長を務めた久野久博士によって進められました。博士は、山体の西側が崩壊していることを発見し、かつての山頂があったと推測される方向にある温泉町の名前を火山名に冠しました。

現在の状況と観光

浸食によって形成された南北に連なる山稜は、富士箱根伊豆国立公園の一部に指定されており、美しい自然景観を楽しむことができます。この稜線に沿って、観光用の有料道路である伊豆スカイラインが走っており、道路脇には火山噴出物の地層を観察できる場所もあります。また、湯河原火山と多賀火山によって形成された山稜付近は丹那山地と呼ばれており、昭和初期には、この山地の下を東海道本線の丹那トンネルが難工事の末に貫通しました。その後、新幹線用のトンネルや熱函道路のトンネルも建設され、山地を越える移動が容易になりました。

地質と災害

山地の西側には北伊豆断層帯が位置しており、伊豆市の中心街方向へ断層谷を形成しています。1930年には、この断層帯の丹那断層などが北伊豆地震を引き起こし、多数の死者が出ました。この地震は、この地域の地質的な特徴と、活断層によるリスクを示しています。

まとめ

多賀火山、湯河原火山、宇佐美火山は、伊豆半島の成り立ちと、その後の地殻変動の歴史を物語る重要な存在です。これらの火山は、自然の美しさを感じさせるだけでなく、地質学的な観点からも貴重な研究対象となっています。また、この地域は観光地としても人気があり、多くの人々が自然と歴史に触れるために訪れています。

関連情報

関係書籍: 『伊豆の大地の物語』 静岡新聞社、2009年
関連項目:
火山の一覧
火山の一覧 (日本)
火山学
伊豆スカイライン
湯河原温泉、宇佐美温泉
丹那トンネル
外部リンク:
日本の第四紀火山 宇佐美・多賀火山群 - 産業技術総合研究所地質調査総合センター
* 伊豆の大地の物語 陸上大型火山の時代（3） - 静岡大学教育学部総合科学教室 小山真人研究室

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