夜、鳥たちが啼く

夜、鳥たちが啼く

佐藤泰志の短編小説『夜、鳥たちが啼く』は、連作短編集『大きなハードルと小さなハードル』に収録されている作品です。2022年には映画版も公開されました。

あらすじ

かつて小説家として名を馳せた慎一は、その後鳴かず飛ばずの日々を送り、恋人にも去られ、鬱屈とした生活を送っていました。そんなある日、友人の元妻である裕子が、一人息子の息子アキラと共に慎一の家に引っ越してきます。裕子と息子に家を譲った慎一は、プレハブで暮らすという奇妙な共同生活が始まります。

過去の身勝手な行いが原因で人を傷つけた経験を持つ慎一は、夜になると、まるで過去の自分自身を投影するかのような小説を書き綴ります。一方、息子のアキラと共に慎一の家に身を寄せた裕子は、息子が寝静まると夜な夜な街へと繰り出し、男たちと逢瀬を重ねます。母親として強くありたいと願う気持ちと、どうしようもない孤独感の間で苦悩する裕子。父親のいない寂しさから、息子のアキラは次第に慎一を慕うようになります。

慎一と裕子は互いに深入りしないように共同生活を送りますが、それぞれが抱える心の傷は深く、なかなか前に進むきっかけを掴めずにいます。

『大きなハードルと小さなハードル』収録作品

美しい夏
野栗鼠
大きなハードルと小さなハードル
納屋のように広い心
裸者の夏
夜、鳥たちが啼く

書誌情報

佐藤泰志『夜、鳥たちが啼く』
初出：『文藝』1989年冬季号
連作短編集『大きなハードルと小さなハードル』所収
単行本：河出書房新社、1991年3月26日発売、ISBN 978-4-309-00676-5
文庫本：河出文庫、2011年6月7日発売、ISBN 978-4-309-41084-5

映画

2022年12月9日に公開。監督は城定秀夫、主演は山田裕貴。R15+指定。

キャスト

岡田慎一：山田裕貴
裕子：松本まりか
アキラ：森優理斗
文子：中村ゆりか
邦博：カトウシンスケ
大谷静子：藤田朋子
武井徹：宇野祥平
三宅隼人：吉田浩太
小野田しずく：縄田カノン
滝沢：加治将樹

スタッフ

原作：佐藤泰志『夜、鳥たちが啼く』（『大きなハードルと小さなハードル』所収 / 河出文庫刊）
監督：城定秀夫
脚本：高田亮
音楽：石塚徹
エグゼクティブプロデューサー：藤本款
プロデューサー：秋山智則、姫田伸也
撮影：渡邊雅紀
照明：小川大介
美術：松塚隆史
録音：岩間翼
スタイリスト：深野明美
ヘアメイク：柿原由佳
編集：清野英樹
効果：西村洋一
グレーディング・VFX：稲川実希
音楽プロデューサー：田井モトヨシ
助監督：伊藤一平
制作補：牧義寛
制作協力：Gemini Films
製作・配給：クロックワークス

受賞

第17回ロサンゼルス日本映画祭・最優秀長編作品賞受賞

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