文藝

文藝について

『文藝』は日本を代表する文芸雑誌の一つであり、その歴史は1933年に遡ります。最初は改造社によって刊行されましたが、1944年からは河出書房が再び発行を引き継ぎ、1957年には河出書房新社名義となるものの一旦休刊しました。しかし、1962年に復刊し、以降も続刊しています。

発行形態の変遷

創刊当初は月刊誌として展開していましたが、1980年代の半ばからは季刊誌に移行しました。復刊後は、新たに公募を行う文藝賞も創設され、才能ある若手作家の発掘を積極的に行っています。

五大文芸誌の一翼

『文藝』は、他の文学雑誌『新潮』（新潮社）、『文學界』（文藝春秋）、『群像』（講談社）、『すばる』（集英社）と共に「五大文芸誌」として広く認識されています。これらの雑誌に掲載された作品は、青田賞や芥川賞の候補となることが多いため、作家にとって重要な舞台となっています。

実際に『文藝』に掲載されて芥川賞を受賞した作品には、宮原昭夫の「誰かが触った」（第67回）や、三田誠広の「僕って何」（第77回）など、注目すべき名作が数多くあります。例えば、高橋三千綱の「九月の空」や唐十郎の「佐川君からの手紙」なども、受賞歴があります。

文藝別冊と関連出版物

1999年からは、ムック本『文藝別冊』も発行され、特集シリーズとして「総特集」や、姉妹編の「KAWADE道の手帖」なども刊行されています。これにより、編集部はさらに幅広い視点で読者にアプローチしています。

編集長の影響

2019年に就任した坂上陽子編集長は、雑誌の表紙をカラフルにし、韓国やフェミニズムといった海外文学を積極的に推奨してきました。また、社会問題をテーマにした特集を行い、コロナウイルスや東京五輪に関連する特集記事が増えたことで、読者の関心を惹きつけています。このような改革により、発行部数が増加し、文藝賞への応募者が増えるなどの成果を上げました。

歴代の編集長

歴代の編集長には、山本三生（1934－42年、改造社）、高杉一郎（1942－43年）、今野一雄（1946年）、高木有（1984－92年）、尾形龍太郎（2014－2018年）、そして現在の坂上陽子（2019年－）など、様々な顔ぶれがいます。彼らの各時代における編集方針や特集が、『文藝』の特色を作り上げてきました。

まとめ

『文藝』は、文学の新たな潮流を常に追い続け、若手作家の登竜門としてだけでなく、幅広い社会テーマや海外文学の視点を取り入れた、現代日本文学の重要なメディアとして存在しています。文学に興味がある人々にとって、必見の雑誌と言えるでしょう。

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