夢で逢いましょ

映画『夢で逢いましょ』の概要

『夢で逢いましょ』は、1962年9月15日に東宝系列で公開された日本のミュージカル映画です。主演の中尾ミエは、実際の人気を背景に自らの役を演じています。本作のキャッチコピーである「七色のライトあびてスパークする魅力の歌声」は、映画のテーマである音楽とエンターテインメントの光彩を表現しています。京都での生活を経て上京した伊津子の成長物語を描くサクセス・ストーリーは、共演する豪華キャストとともに、多くの観客に楽しさを提供しました。

ストーリー

物語は、糸魚川にある旅館「笹倉旅館」の次女、河辺伊津子の奮闘から始まります。彼女は高校生でありながら、男勝りな性格を持ち、同級生とのラブレターを巡る争いから日々の生活に悩みつつ、東京の姉を頼って上京します。姉である美樹は、芸能プロダクション「河辺プロダクション」を経営しており、伊津子はその期待を背負って東京にやってきました。

上京した伊津子の目に映るのは、賑やかな東京の街並みと、ファッション、音楽の世界。しかし、彼女の理想と現実の葛藤が待ち受けていました。歌手としての夢を持ちながら、家で留守番を強いられる日々に、不安と退屈があふれます。そんな中、伊津子は友人である山岡次郎と出会い、次第に仲を深めていくのですが、彼の裏の顔を知ることになり、彼女の心は揺れ動きます。

伊津子は、何とか自分の夢を追い求めようと、ある喫茶店で開催される「ジャズのど自慢」に挑戦します。普通なら躊躇する局面ですが、彼女は「宮城マリ」という偽名を使って出場し、見事に合格を果たします。これにより、勝田プロダクションと契約し、歌手としての第一歩を踏み出すこととなります。同時に、伊津子は周りのオーディションを受ける仲間と友情を深めながら、競争の厳しさや成功のメッセージを感じ取ります。

しかし成功と共に、様々なトラブルが伊津子を襲います。ジャズ喫茶で活動中に、密かに思いを寄せていた増村と姉の親密な様子を目撃し、心に傷を負います。その影響で、伊津子は一時的に退職に追い込まれ、意気消沈してしまいます。そんな彼女を支えるのは、路上で出会ったラーメン屋台の店主や新たな仲間達です。彼らとの触れ合いを通じて、再び音楽の世界に戻り、試練を乗り越えることとなります。

伊津子の物語は、失敗を経ながらも復活し、多くの困難を克服していく過程を描いています。仲間たちや愛する人との絆、そしてchoirとともに歌う喜びによって成長する姿は、多くの人に希望と感動を与えます。最後には、復帰記念の贅沢なコンサートが開催され、夢を叶えた彼女の姿は観客の心に深く刻まれることでしょう。映画全体を通じて、愛や友情、努力の大切さが主体的に表現され、観る者に強烈なメッセージを伝えてくれます。

スタッフとキャスト

本作は、制作陣も充実しており、永島一朗と金原文雄が製作を担当、脚本には森功二を迎え、監督は佐伯幸三が手掛けました。また、豪華なキャスト陣には、河辺伊津子役の中尾ミエを始め、ザ・ピーナッツやハナ肇とクレージーキャッツ、田辺靖雄などが共演しています。音楽や照明、美術にいたるまで、映画の魅力を引き立てる要素が詰まった作品となっており、視覚的にも音楽的にも楽しめる内容です。

このように、『夢で逢いましょ』は、夢を追いかける若者たちへのメッセージを、明るく、時に切なく描いた名作として多くの人々に愛されています。

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