夢と消えたバカンス

夢と消えたバカンス：ハワイを舞台にしたトムとジェリーのドタバタ劇

1952年、メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオ制作の『夢と消えたバカンス』（劇場公開時は『鼠のハワイ航路』）は、人気アニメーションシリーズ『トムとジェリー』の一編です。ハワイのホノルルを目指す豪華客船が舞台となり、陽気なハワイアンミュージックと美しい南国の風景が、トムとジェリーのコミカルな追いかけっこをさらに盛り上げます。

物語の始まり：船上での任務とジェリーの挑戦

トムは、このクルーズ船の保安係として雇われた唯一のベテラン乗組員です。船長から厳命された任務は、ネズミを船内に絶対に入れないこと。もし一隻でも見つかれば、他の乗組員と交代させられると脅されます。

一方、ジェリーはウクレレ片手に、陽気にハワイアンソング「タフア・フアイ」を奏でながら、乗船を試みます。トムはあらゆる手段でジェリーの乗船を阻止しようとしますが、ジェリーの機転といたずらによって、なかなかうまくいきません。

船上での攻防と映画館での休憩

ジェリーはトムの目を欺き、何とか船内に侵入することに成功します。ここから、船上と船外を行き来する、息詰まる追いかけっこが始まります。

一休みとして、二匹は船内の映画館へ。そこでは偶然にも『トムとジェリー 西部の伊達ねずみ』が上映されていました。互いに相手がコケにされている場面では大爆笑するものの、トムがジェリーを激怒させ、ジェリーを船外へ投げ飛ばしてしまうというハプニングも発生します。

ジェリーの逆襲とトムの窮地

しかし、ジェリーは空中でカモメをウクレレで殴り飛ばし、厨房の排気ダクトを伝って、船内食堂に侵入。船長の食事の中に潜んでしまいます。

船長は、トムの活躍を称賛しますが、その直後、食事の中にジェリーを発見。食べ物を食い荒らしたジェリーの姿に激怒した船長は、トムを船内の監獄に閉じ込めてしまいます。

結末：自由を満喫するジェリーと監禁されたトム

一方、トムは監獄から、ウクレレを奏でながらサーフィンを楽しむジェリーの自由な姿を見せつけられます。ジェリーはホノルルの海岸で自由を満喫し、トムはアメリカ本土への強制送還を待つ羽目になったのです。

登場人物

トム: クルーズ船の保安係。ベテランだがジェリーには敵わず、最後は監獄へ。
ジェリー: いたずら好きで抜け目のないネズミ。トムを出し抜き、ハワイでサーフィンを楽しむ。
船長: クルーズ船の船長。トムの仕事ぶりを最初は褒めるが、ジェリーに料理を荒らされたことで激怒。
船内厨房の調理員: ジェリーが料理の中に紛れ込んでいることに気づかず、船長に料理を提供。
* カモメ: ジェリーを食べるために襲いかかるも、ウクレレで殴られる。

作品の魅力

『夢と消えたバカンス』は、トムとジェリーの定番の追いかけっこだけでなく、ハワイを舞台にした美しい風景、陽気な音楽、そして予想外の展開が魅力です。トムとジェリーのユーモラスなやり取り、そして意外な結末は、何度見ても楽しめる作品となっています。日本でも1964年から1990年頃まで、TBS系などで繰り返し放送され、多くの人々に愛されてきました。オープニングとエンディングにはハワイアンソング「アロハ・オエ」のサビの部分が使われています。

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