西部の伊達ねずみ:トムとジェリーの西部劇コメディ
1950年3月11日、劇場公開された『西部の伊達ねずみ』(原題:Texas Tom)は、
ウィリアム・ハンナと
ジョセフ・バーベラ監督による
トムとジェリーシリーズの一作品です。劇場公開時は『西部の猫と鼠』というタイトルで上映されました。本作品は、
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオ制作、
メトロ・ゴールドウィン・メイヤーとロウズ・シアター配給による短編アニメーションです。
物語の舞台:アメリカ西部
舞台は、砂漠とサボテンが印象的なアメリカ西部です。陽気なBGMと西部劇を思わせる背景美術が、作品全体に独特の雰囲気を醸し出しています。トムは、ジェリーを投げ縄でからかうことから物語が始まります。しかし、そこに現れたのは、美しく魅力的な雌猫トゥードゥル。トムは、トゥードゥルに一目惚れし、猛烈なアプローチを始めます。
トムの求愛作戦とジェリーの妨害
トムはトゥードゥルに好印象を与えようと、身だしなみを整え、ジェリーにレコード『If You're Ever Down in Texas, Look Me Up』をかけさせ、
口パクで歌いながら求愛を始めます。しかし、ジェリーはそんなトムの様子を面白く思っておらず、レコードの速度をいじったり、牛の
焼印でトムの尻を焦がしたりと、様々な妨害行為を行います。
予想外の展開と騒動
ジェリーの妨害によって、トムの求愛作戦は失敗ばかり。怒ったトムはジェリーを捕まえようと投げ縄を投げますが、誤って牛を捕まえてしまいます。激怒した牛はトムを激しく追いかけ回し、トムは逃げ惑います。
一方、ジェリーはトムの失敗を尻目に、トゥードゥルにキスをするなど、トム以上に大胆な行動に出ます。そして、牛に追いかけ回された挙句、疲労困憊のトムにジェリーは馬乗りになり、
拍車を突き刺してトムを馬のようにあしらいます。夕日が沈む中、ジェリーを乗せたトムは四つん這いで走り去り、物語は幕を閉じます。
登場キャラクター
トム: トゥードゥルに恋をするが、ジェリーに邪魔され、最後はジェリーに馬乗りされてしまう。
ジェリー: トムをいたずらで困らせるが、最後はトゥードゥルにキスをする。
トゥードゥル: 美しい雌猫。
トムとジェリーの騒動の中心に置かれる存在。
赤色の牛: トムを投げ縄で捕まえようとした際に、トムに捕まってしまい、激怒してトムを突き飛ばす。
*
牧場の牛たち: レコードの音楽に合わせて歌を口ずさむ。
スタッフ
監督:
ウィリアム・ハンナ、
ジョセフ・バーベラ
製作:
フレッド・クインビー
共同製作:
ウィリアム・ハンナ
脚本:
ウィリアム・ハンナ、
ジョセフ・バーベラ
原画:ケネス・ミューズ、エド・バージ、レイ・パターソン、アーヴン・スペンス
レイアウト:リチャード・ビッケンバック
背景:ロバート・ジェントル
音楽:
スコット・ブラッドリー
彩色プロセス:
テクニカラー
録音プロセス:
ウェスタン・エレクトリック、
パースペクタ・ステレオ(再公開版のみ)
制作:
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー・カートゥーン・スタジオ
配給:
メトロ・ゴールドウィン・メイヤー、ロウズ・シアター
関連作品
本作品は、
1952年公開の『
恋のとりこ』と『
夢と消えたバカンス』にも登場します。特に、『
夢と消えたバカンス』では、劇中劇として『西部の伊達ねずみ』の一部が再現されています。これらの作品と合わせて鑑賞することで、より深く『西部の伊達ねずみ』の世界を楽しむことができるでしょう。