夢中さ、きみに。

『夢中さ、きみに。』は、和山やまによる全8編から成る短編漫画で、特に中高生の心情や日常をリアルに描いています。この作品は、2019年2月に行われた同人誌即売会『COMITIA127』で初めて頒布され、その後、月刊コミックビームの編集者の目に留まり、書籍化が決定しました。その結果、2019年 8月10日にKADOKAWAのビームコミックスから刊行されました。

本作は、掲載されている各ストーリーを通じて、主に2人の高校生を中心に展開されます。まず一人は、ミステリアスな雰囲気を持つ男子校の高校2年生・林美良。彼の視点で描かれる4つの物語と、もう一人の主人公・二階堂明は、中学生時代にあまりにもモテてしまった反動として、平穏な日常を求める高校2年生として描かれています。この2組の高校生の物語を通して、青春の葛藤や成長が丁寧に描かれています。

この作品はその内容の深さから、多くの賞に輝きました。特に、第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門新人賞や、第24回手塚治虫文化賞短編賞などが注目される受賞歴を持ち、多くの読者に支持されています。

【テレビドラマ化】
2021年には大西流星を主演に迎え、テレビドラマが放送されました。毎日放送の深夜ドラマ枠『ドラマ特区』にて、2021年1月から毎週金曜に放送され、視聴者の注目を集めました。主要キャストは林美良を演じる大西流星のほかにも、高橋文哉、福本莉子、坂東龍汰など多彩な顔ぶれが揃い、原作の魅力を色あせさせることなく、リアルな描写で魅了しました。

ドラマにおいては、「夜這星」を主題歌として使用し、オープニングテーマにはBroken my toyboxの「Hello Halo -ReLight-」が採用されるなど、音楽面でも視聴者の心に響く演出が行われました。また、脚本や監督には実力派のスタッフが揃い、原作の世界観を忠実に再現しています。

【朗読劇】
さらに2021年3月には、朗読劇としても再演されました。サーモスによって企画されたこの朗読劇では、梶裕貴と小野賢章がキャストとして出演し、YouTubeでライブ配信されました。朗読劇として新たな形で中高生たちの物語を多くの人に届ける試みがなされ、原作ファンにとっても新たな発見の場となりました。

収録された短編作品のあらすじやテーマ
各編はそれぞれ異なるテーマを持ちながらも、共通して青春の不安定さや人間関係の複雑さを描いており、特に思春期の心の葛藤を見事に捉えています。この作品は、読者自身の経験と照らし合わせて共感を得やすい内容であり、多くの人々に愛されています。作品を通して、友情、恋愛、自己探求といったテーマが、リアルでありながらも感情的に訴えかけてくるため、心に残る印象を与えます。

日本の現代青春物語の一端を担うこの作品は、今後も多くの人々に親しまれていくことが期待されています。

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