大ハンブルク法

大ハンブルク法：ハンブルクとリューベックの変遷

大ハンブルク法は、1937年1月26日にナチス・ドイツ政府によって制定された法律で、正式名称を「大ハンブルクおよびその他の地域の再調整に関する法律」といいます。この法律は、ハンブルクとプロイセン自由州の間で地域の帰属を交換することを目的とし、同年4月1日に施行されました。

ハンブルクの拡大と飛び地の喪失

この法律によって、ハンブルクはゲーストハッハトやクックスハーフェンなど、従来所有していた飛び地の大部分を失いました。しかしその代わりに、プロイセン自由州からアルトナ、ヴァンズベク、ハールブルク＝ヴィルヘルムスブルクといった地域が編入されました。これらの地域は、それぞれシュレースヴィヒ＝ホルシュタイン県、ハノーファー県に属していましたが、ハンブルクを含む4都市は以前から「4都市地域」として大都市圏を形成しており、この法律によって正式に合併されることになったのです。

リューベックの苦難

大ハンブルク法は、ハンブルクだけでなくリューベックの市域にも大きな影響を与えました。リューベックの大部分はプロイセン自由州シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン州に編入され、一部の小さな村はメクレンブルク州へと移されました。リューベックは元々、ナチ党の大管区制においてメクレンブルク＝リューベック大管区に属していましたが、1933年以降、大管区指導者間の勢力争いにより、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン大管区との間で帰属が争われていました。大ハンブルク法の結果、シュレースヴィヒ＝ホルシュタイン大管区が勝利し、メクレンブルク＝リューベック大管区はリューベックを失い、メクレンブルク大管区へと改称されました。

さらに、この法律によってリューベックは、711年から続いていた帝国自由都市としての独立主権を失うことになりました。この背景には、1932年にリューベック市議会がナチ党の選挙運動を禁止したことに対する、アドルフ・ヒトラーの個人的な嫌悪感があったとされています。また、プロイセン自由州からハンブルクに移された地域の補償として、リューベックの規模が相応であったことも理由の一つとして挙げられます。

自主権回復の試み

1945年以降、大ハンブルク法によって失われた各都市の自主権を回復しようとする試みがなされました。これは、イギリス軍政府が推進していた地方分権化政策とも一致するものであり、特にハンブルクとアルトナで大きく取り上げられました。1946年夏には、ハンブルクの自主権回復に向けた課題を検討するため、地元やハンブルクの政党、労働組合の代表による委員会が設立されました。

しかし、1946年10月13日に行われた第1回ハンブルク州議会選挙では、イギリス軍政府が「ハンブルク空襲による荒廃からの復興と市民生活の再建に注力すべき」と発表したため、自主権回復の声は小さくなってしまいました。

興味深いことに、元ハンブルク市長のヴァルター・ドゥデクと、元アルトナ市長のマックス・ブラウアーは、戦前には自主権を擁護する主張をしていましたが、ハンブルク州議会に選出された後はその主張を翻しました。一方、アルトナ区長となったアウグスト・キルヒは、1950年になってもアルトナとハンブルクの歴史的な市境の回復を訴えるキャンペーンを行っていました。

ドイツ連邦共和国基本法における都市州としてのハンブルクの地位を踏まえ、「地域的独立性を有する最小単位」という観点から、特にハンブルクとアルトナにおけるより広範な自主権の回復は、今日に至るまで地元で広く認められた課題となっています。ハンブルクでは Wählergemeinschaft Harburg（ハンブルク投票者共同体）、アルトナでは Altonaer Freiheit（アルトナの自由）という団体が、それぞれより大きな自主権の確保を主張しています。

一方、リューベックの都市州としての地位を回復する試みは、1956年に連邦憲法裁判所が下したリューベック判決によって断念されました。

参考文献

Dr William Boehart: "Das Groß-Hamburg-Gesetz — Ein Rückblick 70 Jahre danach". In Lichtwark-Heft Nr. 71, November 2006. Verlag HB-Werbung, Bergedorf. ISSN 1862-3549

外部リンク

Text of the law (ドイツ語)
* German website on history of Lübeck

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