大三島橋

大三島橋

大三島橋（おおみしまばし、あるいは「おおみしまきょう」とも呼ばれます）は、風光明媚な瀬戸内海に位置する鼻栗瀬戸を跨いで建設された、特徴的なアーチ形状の橋梁です。西瀬戸自動車道として知られる国道317号バイパスの一部を構成しており、四国の愛媛県今治市に属する伯方島と大三島という二つの島を結ぶ、しまなみ海道ルート上の重要な連絡点となっています。

概要と歴史

この橋は、本州と四国を結ぶ大規模プロジェクトである本州四国連絡橋ルートにおいて、最も早期に供用が開始された橋梁の一つであり、1979年に開通しました。特筆すべきは、本州四国連絡橋ルートを構成する橋の中で唯一、アーチ橋の形式を採用している点です。さらに、建設が完了した当時においては、日本国内で最も長いアーチ橋としての記録を保持していました。

構造と規模

大三島橋は、橋台部を含めた全体の長さが328メートル、そして主径間となるアーチ部分の支間長が297メートルに及ぶ中路式アーチ橋です。橋の構造は、アーチ桁の端部が橋台下部に設けられた強固なアンカレイジ（固定部）によって支えられ、さらにアーチの水平方向への広がりを抑えるために、橋台から水平に延びる側タイ（引張材）によって連結されています。この独特な構造は、大三島橋の技術的な特徴の一つと言えます。

道路仕様と利用状況

設計当初、大三島橋は4車線の自動車専用道路として計画され、歩道は想定されていませんでした。しかし、実際の交通量予測などを考慮した結果、現在は暫定的に2車線での供用となっています。この暫定措置として空いた残りの2車線分のスペースを利用して、歩行者や自転車が安全に通行できる自転車歩行者道が整備されています。道路としての区分は国道317号（西瀬戸自動車道）であり、道路構造令に基づく第1種3級の規格で設計されています。設計速度は80km/hですが、実際の規制速度は70km/hに設定されています。

通行料金

大三島橋を含む大三島から伯方島までの区間（約6.8km）を通過する際の通行料金は、車両の種類によって定められています（2019年7月時点の例）。歩行者は無料で通行できますが、自転車や原付バイクは50円の料金が必要です。自動車については、軽自動車が360円、普通車が460円、中型車が510円、大型車が720円、特大車が1,290円となっています。

開通した1979年当時の料金と比較すると、例えば軽自動車は500円、普通車は700円、大型車は1,100円、特大車は2,000円でした。現在と比較して、当時の料金設定が高額であったことがわかります。

料金の収受は、原則として朝6時から夜8時までの間に係員によって行われていましたが、夜8時以降は運転者自身が料金箱に通行料を投入するという仕組みでした。しかし、伝えられるところによれば、料金箱に実際に納入される金額はごくわずかであったとされています。

交通規制

安全確保のため、天候状況に応じて通行規制が実施されます。風速が15m/sを超えた場合、自転車歩行者道は通行止めとなり、自動車専用道路部では自動二輪車の通行が禁止され、四輪車には50km/hの速度規制が適用されます。さらに風速が増加し、25m/sを超えた場合には、自動車専用道路部自体も通行止めとなります。

このように、大三島橋は瀬戸内海の美しい景観の中で、伯方島と大三島を結ぶ重要な交通路として、その技術的な特徴と歴史的な意義を保ち合わせて利用されています。自転車歩行者道も整備され、多様な利用者が安全に通行できるよう配慮されています。

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