大丸組1形蒸気機関車

大丸組1形蒸気機関車について

大丸組1形蒸気機関車（だいまるぐみ1がたじょうききかんしゃ）は、土木工事請負業者である大丸組が保有していた蒸気機関車の1つで、1911年に土砂輸送の目的で導入されました。この機関車は、オーレンシュタイン・ウント・コッペル社から5両が製造され、当時の日本の鉄道技術の発展に寄与しました。

導入の背景

大丸組は、品川沖埋め立て工事において工事を受注しました。この工事の目的は、品川駅の拡張と新橋工場の移設用地の確保でした。膨大な量の土砂を移動させる必要があり、そこで5両の蒸気機関車が導入されたのです。この工事は、日本における初期の機械化土工を大規模に採用した事例の一つであり、その技術的な挑戦の一環でもありました。結果として、工事は1915年に完了し、大丸組はこれらの機関車を売却することになりました。

譲渡とその後

売却によって、2両は草津軽便鉄道に、1両は流山鉄道、1両は耶馬溪鉄道に譲渡されました。草津と耶馬溪の3両はそれぞれ路線の電化や改軌により早期に廃車となったのに対し、流山鉄道の1両は第二次世界大戦後もしばらく運用されました。

機関車の構造

大丸組1形蒸気機関車は、コッペル社の初期の設計の最終期に属します。煙室部が缶胴部よりも細く、古い設計の飽和式煙管ボイラーを装備しています。加減弁はボイラー前面の助手席側に取り付けられ、整備が容易である一方、熱効率は若干劣る設計です。動輪は全て三日月形のカウンターウェイト付きのスポーク輪心を使用しており、アラン式の弁装置を採用しています。台枠内に水タンクを持ち、運転台前方左右には機関士用の用具入れと助手側の石炭庫が設けられています。

頸城鉄道への譲渡

流山鉄道に譲渡された大丸組1形蒸気機関車のうちの1両は、1915年に頸城鉄道に移籍しました。この機関車は運転台側に板引き戸を取り付けるなどの改造を受け、頸城鉄道の主力機関車として長期間使用されました。戦後はボイラーの状態が良好であったため、様々なシーズンにわたって活躍し、1966年に廃車となりましたが、その後も静態保存され、最終的には頸城鉄道資料館で保存されています。

性能と技術的詳細

大丸組1形蒸気機関車は、次のような性能諸元を持っています：

• - 全長：4,893mm
• - 全高：2,896mm
• - 全幅：1,715mm
• - 車軸配置：0-6-0 (C)
• - 動輪直径：591mm
• - ボイラー圧力：12.0kg/cm²
• - 水タンク容量：0.70m³

この機関車は、動輪周馬力が50PSで、手用の制動機を装備しています。全般的にシンプルながら実用性が高い設計で、当時の鉄道技術の重要な一歩を記す存在でした。

まとめ

大丸組1形蒸気機関車は、土木工事における重要な役割を果たし、その後の鉄道の発展に寄与した歴史的な機関車です。日本の鉄道史において、その存在は忘れがたいものとなっています。

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