オーレンシュタイン・ウント・コッペル

オーレンシュタイン・ウント・コッペル（O&K）の歴史

オーレンシュタイン・ウント・コッペル（Orenstein & Koppel OHG）、通称O&Kは、1876年にドイツのベルリンで創業した機械製造会社です。創業当初は一般的な機械メーカーでしたが、間もなく鉄道車両の製造に主軸を移しました。その後、重機やエスカレーターなどの製造にも事業を拡大しましたが、鉄道事業からは1981年に撤退し、エスカレーター部門も1996年に売却しました。最終的には建設機械事業も他社に売却し、2006年にベルリン工場はその歴史を閉じました。

鉄道事業の展開

O&Kは、鉄道網建設分野にいち早く参入した企業の一つです。蒸気機関車をはじめ、貨車や客車、建設用掘削機など、多種多様な鉄道車両を製造しました。さらに、貨物船、地均し機、クレーン車、エスカレーター、変速機、フォークリフトトラック、圧搾機、無限軌道車、ダンプトラック、トラクター、ロードローラーなど、その製造範囲は多岐にわたりました。日本へは、1910年代に軽便鉄道用機関車が多数輸出されました。

O&Kの工場は、当初ベルリン郊外のユンゲルサールに設立され、その後、ドイツ帝国軍向けの軽便鉄道用機関車を供給するために拡張されました。ユンゲルサールでは、他の企業も軽便鉄道用機関車を製造していましたが、O&Kはバベルスベルクやノルトハウゼンにも工場を建設し、生産能力を拡大しました。創業時のユンゲルサールの工場が手狭になったため、製造拠点はポツダム周辺に移転されました。

土木重機製造への進出

20世紀に入ると、O&Kは蒸気や鉱油エンジンを動力とする大型のチェーン式切断機を製造しました。当初は木製でしたが、1904年以降は完全な鉄製となりました。1922年には、同社初となる無限軌道式蒸気動力ショベルカーの製造に成功しました。その後、蒸気エンジンはディーゼルエンジンに取って代わられ、O&Kはケロシンエンジンメーカーを吸収合併し、自社ブランドでケロシンエンジンを販売しました。

第一次世界大戦中、O&Kはドイツの国家目標達成に不可欠なエンジンや車両を製造しました。戦後、ヴェルサイユ条約によって製造産業に制約が課せられ、一時的に操業を停止しましたが、その後、機関車の製造を再開し、1942年までに多くの部品を出荷しました。1930年代には、狭軌用機関車に加え、標準軌の車両も製造され、最先端のディーゼル[[機関車]]やドイツ国営鉄道向けの蒸気機関車が製造されました。

ナチス統治下での苦難

ナチス政権下では、O&Kはベルリン東部の工場で大型パワーショベルカーなどを製造していましたが、アーリア化政策によって株式を強制的に売却され、1941年には政府の管理下に置かれました。バベルスベルクの工場は接収・改名されました。第二次世界大戦中、O&Kの工場は空襲の被害を避けるためプラハに移転され、終戦までベルリンで蒸気機関車の製造は行われませんでした。

東ドイツ時代と再編

第二次世界大戦後、ノルトハウゼンの工場は閉鎖され、東ドイツ時代にはO&KはVEB社と改名されました。バベルスブルクでは、1946年に蒸気機関車の製造が再開され、1948年には鉄道設備と建設機械部門が政府系企業に売却され、後にLKM（LOWA・プラント・カール・マルクス）と社名が変更されました。LKMは東ドイツ向けのディーゼル[[機関車]]を製造し、1960年代初めに蒸気機関車の製造を停止しました。約30年の間に、LKMはバベルスブルク工場で約7760台の機関車を製造し、その3分の1が輸出されました。1969年に蒸気機関車の製造は終了しました。

1976年、ディーゼル[[機関車]]の製造から撤退し、その後鉄道部門はボンバルディア社に引き継がれました。西ドイツでは、1949年に「オーレンシュタイン・ウント・コッペルAG」として製造を再開し、1950年には「リューベック・クレーン・カンパニー」と合併しました。ベルリンの壁建設後、本社はドルトムントに移転し、1970年代中頃まで成長を続けました。1972年には5つの工場と世界中に24の代理店を保有し、8530人の従業員を雇用していました。当時、O&Kは鉄道車両、建設作業機械、特に掘削機の製造に注力していました。

油圧ショベルの先駆者

O&Kは1961年にヨーロッパ初の油圧式掘削機を製造し、その後55000機もの掘削機を製造しました。その中には、世界最大級の掘削機RH400も含まれており、その技術は後のメーカーにも受け継がれています。O&Kの油圧ショベルに見られるT字型のパーツは、キャタピラーの製品にも見られ、その系譜を示しています。また、O&Kはエスカレーターも製造していました。

その後のO&K

O&Kは、長年にわたりドイツを代表する機械メーカーとしてその名を轟かせましたが、事業の再編により、その名前は歴史の中に刻まれることとなりました。しかし、O&Kが培ってきた技術と製品は、現代の建設機械や鉄道車両に大きな影響を与えています。

もう一度検索