大久保利武

大久保 利武 (おおくぼ としたけ)

大久保利武は明治時代から昭和にかけて活躍した日本の内務官僚および政治家であり、1894年に帰国して以降、様々な役職を歴任しました。彼は正二位勲一等侯爵という位階を持ち、日本赤十字社の理事としても知られています。

略歴

1865年、薩摩国鹿児島城下で大久保一蔵（後の利通）の三男として生まれました。幼少期の名前は三熊でありましたが、1887年に第一高等中学校を卒業後、アメリカ合衆国に渡り、イェール大学を経てさらにドイツの大学（ハレ大学、ハイデルベルク大学、ベルリン大学）で学びました。彼の学問的なバックグラウンドは、後の政治活動において重要な広がりをもたらしました。

1894年に日本へ帰国した彼は、日清戦争では大本営付通訳官を務めた後、台湾総督秘書官に任命されます。1896年からは内務省に入省し、内務大臣秘書官や監獄局長などの要職を歴任しました。さらに、1900年には鳥取県知事に就任し、その後、大分県および埼玉県の知事として地方行政にも貢献しました。

政治経歴

1901年、大分県知事として八鹿酒造麻生観八らの農地灌漑工事を支援する起債を認可しました。その後、1907年には農商務省商工局長に就任し、1912年には大阪府知事に選ばれました。1917年に大阪府知事を退任後、貴族院の勅選議員となり、政界での影響力を増していきます。1928年には利和の養子となり、侯爵に昇進しました。

1937年にはナチス支持の学者であるウォルター・ドーナートが率いる日独文化協会の会長として、日独関係の拡大にも貢献しました。

栄典

大久保利武は数々の栄典を受けています。1896年には勲六等単光旭日章を授与され、その後も勲五等瑞宝章、勲四等瑞宝章、正四位、勲三等旭日中綬章など、多くの栄典を受けました。特に1943年には勲一等瑞宝章および正二位を授与されており、彼の日本における貢献が評価されたことを示しています。

また、外国の勲章を佩用する許可も受けており、イタリア王国の王冠第一等勲章やドイツ鷲勲章功労十字星章などが含まれます。

家族と晩年

大久保家は有力な家系であり、彼の父は薩摩藩士で、彼自身も非常に名門の家に生まれ育ちました。結婚した妻栄との間には数人の子供があり、長男の利謙は歴史学者として知られています。

大久保利武は1943年、78歳で他界しました。彼の墓所は青山霊園にあり、長男が家督を継承する形となりました。

著作

利武は多くの著作を残しており、特に日本の流通や文化に関する研究論文が評価されています。代表的な著作には『日本に於けるベリー翁』や『岩倉公と叢裡鳴虫』があります。これらは彼の知識と経験が凝縮された貴重な資料です。

彼の業績は日本の近代化に大きく寄与し、彼の政治的な影響力や公的活動は、当時の社会に多大な影響を与え続けたと言えるでしょう。

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