大久保忠職

大久保忠職（おおくぼ ただもと）は、江戸時代初期に活躍した大名です。相模小田原藩大久保家の2代目当主である大久保忠常の長男として生まれ、母は徳川家康の娘である亀姫の娘にあたります。つまり、忠職は徳川家康の曾孫にあたる人物です。

1604年に生まれた忠職は、1611年に父の死によって家督を継ぎましたが、まだ幼かったため、祖父の大久保忠隣が政務を行いました。しかし、1614年に祖父が失脚し、大久保家は大きな打撃を受けました。多くの者が処罰される中、忠職は家康の血筋を引いていること、また祖父の功績を考慮され、2万石の騎西藩主として蟄居処分となりました。

1625年、忠職は罪を赦免され、翌年には加賀守に叙任されました。1632年には3万石加増の5万石で美濃加納藩に移封されます。この加納への入封は、母方の従弟である奥平忠隆の死去に伴うもので、外祖母である盛徳院の縁も影響したとされています。さらに1639年には2万石加増の7万石で播磨明石藩へ、1649年には1万3000石加増の8万3000石で肥前唐津藩へと移封されました。

唐津藩主となった忠職は、前藩主の悪政を正すべく、藩政改革に力を注ぎました。地方知行制を廃止し、蔵米知行制を導入、代官制度による統治と農民登用によって民政の安定に努め、藩政の基礎を固めました。

1670年、忠職は67歳で亡くなりました。3人の息子が早世したため、後継者には従弟である大久保忠朝を迎えました。忠職の墓所は京都市の本禅寺にありますが、墓碑は佐賀県唐津市の丸宗公園にも建てられています。


系譜

父: 大久保忠常
母: 奥平信昌の娘
正室: 松平忠明の娘
子女:
大久保新十郎
宇津季之
大久保忠倫
養子: 大久保忠朝（大久保教隆の次男）

大久保忠職は、激動の時代を生き抜き、藩政の安定に尽力した名君として、その名を歴史に刻んでいます。

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