奥平信昌

奥平信昌の生涯

奥平信昌（おくだいら のぶまさ）は、戦国時代から江戸時代初期に活躍した武将であり、大名です。彼は上野小幡藩の初代藩主となり、その後は美濃加納藩の初代藩主となりました。初めは貞昌（さだまさ）という名で知られ、徳川家康の長女・亀姫を正室として迎え、家康から特に重用される存在となったのです。亀姫との間には、家昌をはじめとする4人の男子と1人の女子が誕生しました。

経歴の始まり

信昌は、三河国作手において有力国人の奥平定能（貞能）の長男として生まれました。母は牧野成種の娘であり、奥平氏は代々今川氏に従属していましたが、桶狭間の戦いを契機に、その関係は大きく変わりました。今川氏の影響力が低下する中、信昌と父は徳川家康の傘下に入り、遠江掛川城攻めに加わりました。

1570年12月、武田氏の重臣である秋山虎繁が東美濃を侵攻する際、信昌父子は徳川方として奮闘しますが、同盟先の遠山氏が敗退したため、武田方と内通していたことで戦線離脱を余儀なくされました。その後、信昌は武田氏に従属していきましたが、1573年ごろ、徳川家康は奥平氏を味方に引き入れるべく、信昌に亀姫との縁組を提案します。

忠誠と転機

この婚約を機に、信昌は武田家に人質として送っていた妻を離縁し、徳川体制の一員として活動を開始しました。1575年の長篠の戦いでは、信昌はその勇敢な籠城戦で名を馳せます。武田軍に包囲された長篠城で、彼は優れた指揮力を発揮し、織田・徳川連合軍の救援を待って見事に耐え抜きました。この功績により、信長から偏諱を受けて信昌と改名し、また家康からも高く評価されることになります。

戦国の動乱とその後

その後、信昌は1579年の天正壬午の乱や1584年の小牧・長久手の戦いなどに参戦し、徳川軍の一員として戦功を重ねました。また、家康の宿老として徳川家の軍制改革にも貢献しました。1582年には関東に移り、家康に従って上野国に新たな領地を与えられました。

関ヶ原の戦いにも参戦した信昌は、その後の活躍により、加納藩に転封されました。慶長6年には家康の信任を受け、美濃に着任し、次男に藩主の座を譲ります。晩年には、大坂の陣に息子たちに変わって戦力を派遣しましたが、彼自身は高齢を理由に参陣を免れました。

彼の遺産と文化

信昌は1606年に79歳で亡くなり、その業績は高く評価されています。彼の長篠籠城の記念行事として、大分県中津市の奥平神社では毎年「たにし祭」が開催されています。信昌の生涯は、戦国の武将としての彼の忠誠心や英勇を象徴するものであり、歴史に名を刻んでいます。

登場作品

信昌は多くの歴史作品でも取り上げられており、NHKの大河ドラマ『徳川家康』（1983年）、『葵　徳川三代』（2000年）、そして『どうする家康』（2023年）において彼の人生が語られています。

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