大久保泰甫

大久保泰甫について

大久保泰甫（おおくぼやすお）は、1937年8月28日に福井県福井市で生まれた日本の法制史家です。名古屋大学の名誉教授として知られ、法学の分野における彼の貢献は計り知れません。特に明治政府のフランス人法律顧問であるギュスターヴ・ボワソナード（1825年-1910年）の業績に焦点をあてつつ、19・20世紀のフランス法制史や日本近代法史にも深い研究を行っています。

学歴とキャリア

大久保は1960年に東京大学法学部を卒業後、1961年から同大学で助手として活動を始めました。この時期、彼は西洋法制史の権威である久保正幡やフランス法の専門家である野田良之から指導を受けました。1964年には名古屋大学法学部の助教授となり、1975年から2001年まで教授として教育と研究に従事しました。

その間、1988年から約3年間はフランス・パリ大学の国際都市日本館の館長に任命され、国際的な学術交流の促進にも寄与しました。また、1992年からの2年間は名古屋大学法学部長および大学院法学研究科長を務め、大学運営にも関わりました。名古屋大学を退官後は、南山大学外国語学部で教授として教鞭を執り、名古屋大学の名誉教授の称号も授与されています。

所属学会

大久保は法制史学会や日仏法学会に所属し、法学の発展に尽力しています。彼の研究は日本とフランスの法制度の比較や歴史的なつながりを探る上で重要な基盤となっています。

主な著書

大久保泰甫は多くの著作を持ち、その中でも特に以下の著書が有名です。

• - 『ボワソナアド-日本近代法の父』 （岩波新書、1977年、補訂版1998年）。この本はボワソナードの影響を詳細に探っています。
• - 『ボワソナードと国際法　台湾出兵事件の透視図』 （岩波書店、2016年）。この著作ではボワソナードの国際法に関する考察が展開されています。
• - 共著として、『ボワソナード民法典の編纂』（雄松堂出版、1999年）や、「コード・シヴィルの未来をめぐって―フランス・日本・ヨーロッパー」 （『コード・シヴィルの200年』創文社、2007年）などがあります。
• - 翻訳業では、ジャン・カルボニエの「社会学的現象として見たナポレオン法典」（『法と刑罰の歴史的考察』名古屋大学出版会、1987年）やクリストフ・ジャマンの「ボワソナードとその時代」（『日本民法典と西欧法伝統』九州大学出版会、2000年）などが挙げられます。

大久保泰甫は法制史の領域において、多くの業績を上げてきた学者であり、彼の研究は今後も法学の発展に大きな影響を与えることでしょう。彼の著作や研究成果は、法学だけでなく、社会科学全般においても参照される貴重な資料となっています。

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