大仏流北条氏

大仏流北条氏（おさらぎりゅうほうじょうし）は、鎌倉時代に北条氏から分かれた一族であり、その始祖は北条時房の四男である北条朝直に遡ります。時房流の嫡流として、朝直の子孫から数多くの庶流が生まれました。

初代の朝直は、時の執権である北条泰時の娘を妻としたことで、北条一門の中でも特別な地位を築き、重んじられる存在となりました。その子孫たちは代々、鎌倉幕府の重要な役職を担い、一族の繁栄を支えました。

特に、3代目の宗宣は幕府の第11代執権に就任し、大仏流北条氏の勢力を頂点に押し上げました。しかし、宗宣、維貞（初め貞宗）、高宣の3代は、得宗家（北条氏の嫡流）から偏諱（名前の一字）を授与されており、この点が家格を測る上で重要な意味を持ちます。

当時のしきたりとして、将軍を烏帽子親とする得宗家や赤橋流北条氏の当主に対し、大仏流北条氏の当主は金沢流北条氏の当主と共に得宗家を烏帽子親としていました。この慣習から、大仏流北条氏は、得宗家や赤橋流北条氏よりも一段階家格が低いと位置づけられていたという指摘があります。

以下に大仏流北条氏の系図を示します（太字+数字は嫡流）。

系図
1. 北条朝直
2. 北条宗宣（第11代執権）
3. 北条維貞（初め貞宗）
4. 北条高宣

このように、大仏流北条氏は鎌倉幕府において重要な役割を果たしましたが、家格においては得宗家などに一歩譲る立場であったと考えられています。その歴史は、鎌倉幕府の権力構造や社会制度を理解する上で、貴重な手がかりとなります。

もう一度検索