北条宗宣

北条宗宣：鎌倉幕府を支えた大仏家の執権

北条宗宣（ほうじょう むねのぶ）は、鎌倉時代後期に活躍した武将で、北条氏の一門である大仏家（おさらぎけ）の出身です。大仏宗宣とも呼ばれます。彼は鎌倉幕府の第11代執権として、わずかな期間ながら幕府を率いました。しかし、その政治的影響力は限定的で、内管領や得宗外戚に実権を握られていたとされています。

生涯

宗宣は、大仏宣時（おさらぎ のぶとき）の子として生まれました。元服の際には、得宗家当主である北条時宗から一字を賜り、「宗宣」と名乗りました。大仏家の総領として、弟や子らとともに幕府の要職を歴任し、その存在感を示しました。

1286年には引付衆、1293年には越訴頭人となり、その後、引付から改編された執奏の一員に選ばれました。しかし、1295年に執奏が廃止され引付が復活すると、一時的に引付から外れます。1296年には四番引付頭人となり、さらに寄合衆にも加わりました。1297年から1302年まで六波羅探題南方に在任し、京都で政務に携わりました。

1305年の嘉元の乱では、得宗の北条貞時の命を受け、北条宗方を討伐するという重要な役割を担いました。この功績により、同年7月には連署に昇進しました。1311年、執権であった北条師時が死去すると、宗宣は連署から昇格し、第11代執権に就任しました。しかし、実際には幕府の政治は内管領の長崎円喜や得宗外戚の安達時顕によって牛耳られ、宗宣は政治を主導することができませんでした。1312年、執権職を北条煕時に譲り、出家しました。そのわずか数週間後、54歳で生涯を閉じました。

宗宣は歌人としても才能を発揮し、『新後撰和歌集』『玉葉和歌集』『続後千載和歌集』に23首の和歌が収録されています。

異説：嘉元の乱と宗宣の動向

歴史家の細川重男は、嘉元の乱の背景に宗宣の暗躍があったという説を唱えています。細川は、宗宣が北条貞時に反抗的であったとし、その理由として、大仏家の始祖である北条時房が、北条泰時の連署として幕政に重きをなしたものの、その後、得宗家によって冷遇されていたことを指摘しています。宗宣は、嘉元の乱を機に大仏家の巻き返しを図り、貞時と対立したと主張しています。

一方、鈴木宏美はこれに反論し、時房の子である朝直が、泰時の娘を妻としたことで北条一族の中で重んじられていたと述べています。また、大仏家は代々幕府の要職に就いていたものの、得宗家を烏帽子親とする家格では一段低く見られていたとも指摘しています。宗宣も、得宗の偏諱を受けていたことから、要職に就く代わりに得宗に従属せざるを得なかった可能性があります。内管領の平頼綱を排除した平禅門の乱後、貞時が得宗家への権力集中を目指したことに、宗宣が反感を抱いていた可能性も否定できないという説もあります。

経歴

宗宣は、官僚としても着実にキャリアを重ねています。

1282年：雅樂允に任官、式部少丞に転任、従五位下に叙位
1286年：引付衆に就任
1287年：評定衆に異動
1288年：上野介に転任
1293年：越訴頭人、小侍奉行を兼帯、執奏の一員に選定
1294年：従五位上に昇叙、執奏を辞職
1296年：四番引付頭人、寄合衆・京下奉行を兼帯
1297年：越訴頭人を辞職、六波羅探題南方に異動
1300年：正五位下に昇叙
1301年：陸奥守に転任
1302年：六波羅探題を退任、一番引付頭人に就任、官途奉行を兼帯
1303年：越訴奉行を兼帯
1305年：連署に異動
1308年：従四位下に昇叙
1311年：執権に就任
1312年：執権を退任、出家、死去

まとめ

北条宗宣は、鎌倉幕府の重鎮として活躍した人物ですが、その執権としての期間は短く、実質的な政治権力は限定的でした。しかし、彼の生涯は、鎌倉幕府末期の複雑な政治情勢や、北条氏一門内部の権力闘争を理解する上で重要な手がかりとなります。また、歌人としての側面も持ち合わせており、その多才さが伺えます。彼の生涯は、様々な角度から研究されており、今後も新たな発見があるかもしれません。

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