大分恵尺

大分恵尺（おおきだ の えさか）に関する詳細

大分恵尺は、飛鳥時代に活躍した人物で、姓は君に属していました。彼は672年に起こった壬申の乱において、大海人皇子（後の天武天皇）の側近として重要な役割を果たしました。恵尺はその出自として、大分氏の一員であり、豊後国大分郡の豪族であったとされます。

出自について

大分恵尺は、大分氏の一部であり、その家族は建弥阿久良命や豊門別命に遡ることができます。大分氏は国造家として大分国を支配していた家系であり、その影響力を持っていました。一族の中には、大分稚臣といった著名な人物も存在しました。恵尺は壬申の乱が勃発する際、大海人皇子の舎人であったと考えられています。このことから、恵尺の背景には豊かな伝統や政治的な力があったことが伺えます。

壬申の乱における活躍

壬申の乱では、大海人皇子が吉野で行動を開始する際に、彼は重要な使者の一人として選ばれました。672年6月24日、皇子は高坂王に駅鈴を求める使者を派遣しました。この使者に選ばれたのが、大分恵尺、黄書大伴、そして逢志摩の3人でした。皇子は彼らに対し、「駅鈴を得られなかった場合、志摩は直ちに戻り、恵尺は急いで近江へ向かい、高市皇子と大津皇子を連れ出して伊勢で会合しなさい」と命じました。

しかし、使者は高坂王のもとで駅鈴を得ることができなかったため、恵尺は急ぎ近江へ向かいます。その後、高市皇子と大津皇子はそれぞれ別の集団で脱出し、高市皇子は翌日25日に大海人皇子の一行に合流しました。同時に、大分恵尺は大津皇子と共に伊勢へ向かう途中、鈴鹿関で彼らの行動を制止されたことが記録されています。鈴鹿関司は一行を他の人物と誤認したが、翌日には大津皇子であると認識されました。この後の恵尺の具体的な行動については記録が残っていません。

功臣としてのその後

日本書紀によると、恵尺は12月4日には勲功ある者として冠位が与えられることが決定されたため、彼は冠位を得た可能性が高いです。この時期、彼はすでに病を抱えていたといいます。天武天皇4年、675年の6月23日には恵尺が病に伏し、天皇はそのことを知ったとき驚きを隠せませんでした。彼は恵尺の功績を称え、彼の子孫には厚く報いることを約束する詔を発し、恵尺には外小紫の冠位を授けました。外小紫は高い位ですが、恵尺の場合は外位であり、従って官職としては有力貴族と同列に扱われることはありませんでした。それでも、天皇の考えとしては、彼の功績を高く評価したいという思いがあったと考えられます。

数日後、恵尺は自宅で亡くなりました。彼は九州にある古宮古墳に埋葬されたと考えられています。この古墳は九州唯一の畿内型終末期古墳として知られています。

関連項目

• - 飛鳥時代以前の人物一覧

以上のように、大分恵尺は飛鳥時代において、大海人皇子の側近として多大な貢献を果たし、その後も彼の影響力は長きにわたり続くことになりました。

もう一度検索