大分県道411号中津山国自転車道線

大分県道411号中津山国自転車道線：耶馬渓の自然と歴史を巡るサイクリングロード

大分県中津市を走る大分県道411号中津山国自転車道線は、全長約35kmに及ぶ大規模な自転車道です。かつて存在した大分交通耶馬渓線の廃線跡を活用し、1972年から整備が開始されました。

耶馬渓の絶景と歴史的資産

この自転車道は、日本新三景・日本三大奇景にも数えられる耶馬渓の雄大な自然の中にあります。鮮やかな青色が印象的な青の洞門や、美しいアーチを描く耶馬渓橋など、数々の観光資源を巡る事ができます。さらに、耶馬渓鉄道の遺構として残る一号厚ヶ瀬トンネル、二号厚ヶ瀬トンネル、平田駅ホームなどは国の登録有形文化財に登録されており、歴史的価値も高いです。第二山国川鉄橋は土木学会の近代土木遺産に選定されています。これらの歴史的建造物と自然美を同時に楽しめる点が、この自転車道の大きな魅力です。

サイクリングコースとしての評価

サイクリングコースとしての評価も高く、日本経済新聞社と日経BPが共同運営するNIKKEI STYLEにおいて、2003年と2010年の二度に渡り「おすすめのサイクリングコース」として高い順位にランクインしました。専門家からなる選考委員会による評価であることから、その質の高さがうかがえます。

多様なコースと充実の設備

コースは中津市沖代町一丁目から同市山国町守実までを結びます。起点の中津駅周辺では、中津城や福澤諭吉旧居といった歴史的建造物を巡るコースも設定されています。耶馬溪サイクリングターミナルを起点に、青の洞門や耶馬渓橋などの本耶馬渓方面へのコース、道の駅やまくにやコアやまくになど山国方面へのコース、そして耶馬渓ダム周遊コースなど、初心者から家族連れまで楽しめるコースが多数用意されています。上級者向けには、峠を越えて玖珠郡玖珠町域や宇佐市院内町域へと抜けるコースもあります。

青の洞門サイクリングセンター風水園、耶馬溪サイクリングターミナル、やすらぎの郷やまくにの3箇所ではレンタサイクルも実施しているので、気軽にサイクリングを楽しむことができます。

多言語対応と今後の展望

近年増加しているアジアからの観光客をターゲットに、沿線の案内標識は日英2ヶ国語化が推進されています。ラグビーワールドカップ2019や2020年東京オリンピック開催を機に増加が見込まれる欧米からの観光客にも対応することで、国際的なサイクリングロードとしての地位を確立しようとしています。

歴史と災害からの復興

この自転車道は、1971年に廃止された大分交通耶馬渓線の線路敷を転用して整備されました。1972年に整備工事が着手され、1982年に完成しました。しかし、2012年の平成24年7月九州北部豪雨により、第二山国川鉄橋が甚大な被害を受けました。橋脚の一部崩壊と橋桁の流失により、復旧には1億2300万円の費用と約1年10ヶ月の歳月を要しました。自転車道全体の復旧工事は2018年頃まで続けられました。災害からの復興を経て、現在も多くのサイクリストに親しまれるサイクリングロードとして存在し続けています。

まとめ

大分県道411号中津山国自転車道線は、耶馬渓の豊かな自然と歴史的建造物を同時に楽しめる、魅力的なサイクリングロードです。様々なコースが用意されているため、初心者から上級者まで、幅広いサイクリストに最適な場所と言えるでしょう。

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