山国川

山国川：耶馬渓の景観と激流の歴史

山国川は大分県と福岡県の県境を流れ、一級水系山国川水系の本川です。河口付近では両県の天然の境界線として知られています。英彦山付近を源流とし、南東から北東へ流れを変えながら、中津市街地へと注ぎ込みます。

自然と景観

山国川の上流・中流域は、雄大な渓谷美を誇る耶馬渓として有名です。青の洞門や猿飛の甌穴群など、急流によって生み出されたダイナミックな景観は多くの観光客を魅了しています。11月後半には紅葉が美しく、息を呑むような絶景が広がります。耶馬渓の一部は、1923年に名勝、1950年には耶馬日田[[英彦山国定公園]]に指定されており、その自然の価値の高さが認められています。支流の津民川には「津民川河川プール」があり、平成元年度手づくり郷土賞を受賞するなど、地域住民の生活にも深く関わっています。

しかし、山国川は九州一の急流河川としても知られています。上流域での集中豪[[雨]]は、短時間に大量の雨水を河川に流入させ、甚大な洪水を引き起こす危険性をはらんでいます。

歴史と変遷

平安時代には御木川と呼ばれていた山国川は、その後、高瀬川、広津川、小犬丸川など、地域によって様々な呼び名で呼ばれていました。1600年、細川忠興が中津城に入城すると、金谷堤の築造によって大家川を締め切り、中津城の外堀として利用しました。この結果、中津川が本流となりました。しかし、1655年と1669年の洪水によって新たな派川が形成され、中州である小祝島が誕生しました。江戸時代には、現在の山国川は水量が少なく、中津川が本流でした。1889年の洪水によって流量が逆転し、現在の流れとなりました。明治8年、小倉県により正式に「山国川」と命名されました。この名称は、上流の耶馬渓がかつて「山国の谷」「山国渓」と呼ばれていたことに由来します。

1948年から国の直轄事業による改修工事が行われ、1966年には河川法の施行に伴い一級水系に指定されました。1992年には「山国川の日」が制定されています。

流域と主要施設

山国川流域には、大分県の中津市と福岡県の築上郡上毛町、吉富町が含まれます。主要な支流には上志川、金吉川、山移川、折戸川、津民川、三尾母川、跡田川、屋形川、友枝川、黒川、中津川などがあります。また、数多くの橋が架けられており、歴史的な石造アーチ橋も存在します。耶馬渓橋は国の重要文化財に指定されています。

主な利水施設としては、平成大堰、大井手堰、荒瀬井堰、耶馬溪ダムなどが挙げられます。荒瀬井堰は、中津藩主・小笠原長胤が起工したもので、工事の苛烈さから藩財政を圧迫し、彼の失脚の一因ともなりました。

水害

山国川流域は、度々甚大な水害に見舞われてきました。2012年、2017年、そして2023年の九州北部豪雨では、記録的な大雨により河川が氾濫し、多くの家屋やインフラに被害が発生しました。特に2023年の豪雨では観測史上最大の降水量を記録し、大きな被害をもたらしました。これらの豪雨災害は、山国川の急流特性と集中豪[[雨]]のリスクを改めて浮き彫りにしました。

まとめ

山国川は、美しい景観と激流の歴史を併せ持つ河川です。その恵みと脅威を理解し、自然との共存を図ることが、流域住民の未来にとって重要です。

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