大友氏遺跡

大友氏遺跡：豊後守護大名・大友氏の栄華と最期を語る歴史の舞台

大分県大分市顕徳町に広がる大友氏遺跡は、室町時代から戦国時代にかけて豊後国を治めた大友氏の本拠地であり、その歴史的意義は計り知れません。2001年に国の史跡「大友氏館跡」として指定され、その後、旧万寿寺跡や上原館跡などが追加指定されるなど、その範囲は拡大し続け、現在は「大友氏遺跡」として知られています。

大友氏館：守護大名館の威容

大友氏館は、大友氏泰が現在の大分市街地の東部、かつて大分川の河口付近に築いた居館です。東西約700メートル、南北約2200メートルに及ぶ城下町「府内」の中心として機能していました。一辺約200メートルの四辺形状をしており、典型的な守護大名館であったと推定されています。発掘調査では、15～16世紀の庭園遺構や建物跡、そして明や東南アジアとの貿易、南蛮貿易によって輸入された陶磁器などが多数出土しています。これらの遺物の中には、焼けた痕跡が見られるものも多く、1586年の島津氏による焼き討ちの悲劇を物語っています。

南蛮文化の開花と衰退

最盛期には九州全域を支配下に置いた大友宗麟は、キリスト教を保護し、活発な海外貿易を行いました。府内は貿易港として栄え、1557年には日本初の西洋式病院、1580年にはコレジオ（神学院）が設立されるなど、南蛮文化が花開きました。しかし、その栄華は長くは続きませんでした。ルイス・フロイスの『日本史』によると、1586年、島津家久の侵攻により、府内は焼き討ちに遭い壊滅的な被害を受けました。

旧万寿寺跡：大友氏の菩提寺

大友氏館の南東、現在の元町にあった万寿寺は、1306年、大友貞親によって建立された大友氏の菩提寺です。禅宗様式の伽藍配置を持ち、門前には五重塔が建っていたと伝えられています。室町時代には十刹に数えられるほど格式の高い寺でしたが、大友氏館と同様に島津氏の侵攻により焼失しました。現在の万寿寺は、移転・再興されたものです。発掘調査では、「紅地金襴手宝相華文碗」や「褐釉陶器水注」といった貴重な陶磁器が出土しています。

上原館：大友氏の初期居館

上野丘陵北部にあった上原館は、大友氏館が発見される以前は、大友氏の居館であったと考えられていました。東西130メートル、南北156メートルの規模で、土塁や堀の跡が残されています。1597年、福原直高が府内城を築いた際に廃されたとされています。

展示施設

大友氏遺跡の出土品は、南蛮BUNGO交流館や大分県立埋蔵文化財センターで展示されています。南蛮BUNGO交流館は、大友氏遺跡体験学習館をリニューアルした施設で、大友氏遺跡に関する様々な情報を提供しています。大分県立埋蔵文化財センターには、「BUNGO大友資料館」が併設され、大友氏ゆかりの貴重な資料を展示しています。

未来への継承

大分市では、大友氏館跡の歴史公園化を進めており、庭園の復元はすでに完了し、今後、主殿などの主要施設の復元も計画されています。この遺跡は、大友氏の歴史だけでなく、戦国時代の社会や文化、そして日本と海外との交流を知る上で貴重な資料を提供し続けています。その歴史的価値を未来へ継承していく取り組みが続けられています。

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