大口城

大口城（おおくちじょう）

大口城は、現在の鹿児島県伊佐市大口里字上ノ馬場にあった日本の城で、島津氏の支配下にあった外城の一つです。別名として牛山城や牟田口城とも呼ばれていました。この城は、典型的な山城の形式をもち、その歴史は古く、築城から江戸時代にかけて様々な変遷を経てきました。

立地と戦略的重要性

大口の地は、その地理的な位置から、日向国、肥後国、薩摩国、大隅国を結ぶ交通の要衝として、古くから重要な場所でした。特に、日向路や肥後路といった主要な道路にも近く、付近の各村も地政学的に有利な土地が多かったため、薩摩、大隅、日向の三国間の交通を掌握する上で、非常に重要な拠点でした。

築城の経緯

大口城の起源は、1158年（保元3年）に平信基が保元の乱で勝利したことで、薩摩国牛屎院と祁答院を与えられたことに遡ります。平信基の四男である平元衡がこの地に城を築いたと伝えられています。ただし、この平元衡については、「太秦元衡」とする説もあり、また、「牛屎院」の読み方も「うしくそいん」や「ねばりいん」など複数の説が存在しています。

城の変遷

大口城は、築城当初は島津家の家臣が城主を務めていましたが、室町時代に入ると、近隣の相良氏や蒲生氏と協力して島津氏に抵抗していた菱刈氏によって奪取されました。しかし、永禄年間（1558年-1570年）になると、島津氏は薩摩半島全域の支配を目指し、菱刈氏との間で激しい戦いを繰り広げるようになりました。そして、1569年（永禄12年）には、菱刈氏が島津氏に敗北し、大口城は島津氏の外城となりました。

城の現状

江戸時代になると、大口城は取り壊され、その姿を消しました。2016年（平成28年）11月現在では、わずかに空堀や土塁といった遺構が残っているのみとなっています。しかし、その立地や歴史的背景から、大口城は地域の歴史を語る上で重要な存在です。

主な城主

菱刈隆秋（ひしかり たかあき） - 菱刈氏が島津氏に敗北した際の家督を継いだ人物です。
新納忠元（にいろ ただもと） - 島津家の重臣で、薩摩国大口の地頭を務めた人物です。

関連情報

大口市: 現在の伊佐市は、かつて大口市と呼ばれていました。
外部リンク:
薩摩大口城 - お城の旅日記
薩摩・大口城(城郭放浪記) - 城郭放浪記

参考文献

* 山元泰生『新納忠元』学陽書房〈人物文庫〉、2011年。ISBN 978-4-3137-5267-2。

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