大名府

大名府は、中国の歴史において重要な役割を果たした地方行政区画であり、その起源は唐代の魏州に遡ります。五代十国時代に後唐によって東京興唐府と改称され、その後、後晋によって広晋府、後漢によって大名府と変遷しました。

特に北宋時代には、大名府は北京として陪都に位置づけられ、河北東路に属し、元城、大名、内黄など12の県を管轄する重要な都市として繁栄しました。しかし、1128年には金の侵攻によって一時的に支配され、大名府路に属し、管轄する県や鎮が変化しました。その後、モンゴル帝国の支配下では大名路総管府と改称され、中書省に属し、複数の県と州を管轄しました。

明代になると、大名路は大名府に戻り、北直隷に属しました。管轄する県や州は時代とともに変化しましたが、依然として重要な地域行政の中心でした。清代には直隷省に属し、1州6県を管轄しました。しかし、1913年、中華民国によって大名府は廃止され、その歴史に幕を閉じました。

大名府は、北宋時代には陪都として栄えましたが、陪都ではなくなると都市としての勢いを失いました。明代には大規模な洪水によって放棄され、市街地は現在の邯鄲市大名県の県城に移りました。北宋時代の大名府の遺跡（大名府故城）は、現在、大名県大街郷に残り、2006年には中国国務院によって全国重点文物保護単位に指定されています。この遺跡は、かつての都の繁栄と変遷を今に伝える貴重な歴史的遺産です。

このように、大名府は、その行政区画としての変遷を通じて、中国の歴史の流れと深く関わってきました。唐代から民国初期までの長い歴史の中で、大名府は政治、経済、文化の中心地として、その役割を変化させながらも、常に重要な存在であり続けたのです。

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