大和晴完

大和晴完（やまと はるみつ）

大和晴完は、明応8年（1499年）に生まれ、慶長9年（1604年）1月11日に106歳で亡くなったとされる武士です。室町時代後期から江戸時代初期にかけての激動の時代を生き、その生涯は室町幕府の終焉と江戸幕府の成立という大きな歴史の転換期と重なります。

出自

大和氏は、室町幕府の奉公衆四番衆を代々務めた家柄です。室町幕府の番帳や役人付類にも四番組としてその存在が確認できます。晴完が記したとされる『大和三位入道宗恕家乗』には、大和氏の祖は日向右京大夫の子である秀政であり、足利尊氏、義詮、義満に仕え、その際に「大和」の姓を与えられたとされています。しかし、この書には秀政の娘（さぬ）が尊氏の妻となり、義詮の母となったといった創作が含まれています。

『萩藩閥閱録』に所収された家譜では、秀政が尊氏と「父子之契約」を結び、足利の「名字」と家紋（二引紋）を賜ったと記されています。また、戦国時代の伊勢貞陸も『常照愚草』の中で、大和家が足利氏との深い繋がりがあったことを示唆しています。文和4年（1355年）の『足利尊氏近習馬廻衆一揆契状』には、「やまと氏政」「やまとの弥太郎政行」という名前が見え、この頃から大和氏が足利氏の近習として活動していたことが窺えます。

概要

晴完は、『永禄六年諸役人附』には申次衆として名前が記載されています。申次衆とは、主君と家臣の間を取り持つ役目を担う役職です。晴完の息子である大和秀国が毛利輝元に仕えた縁から、晴完自身も輝元の下に移り住み、その子孫は長州藩に仕えることになります。晴完は、106歳という長寿を全うしましたが、『言経卿記』の慶長9年（1604年）1月11日の条には「百六歳歟、言語道断々々々々」とあり、当時としては非常に稀な長寿であったことが伺えます。

大和晴完は、室町幕府の奉公衆という家柄に生まれ、戦国時代を経て江戸時代初期までを生き抜いた人物です。その生涯は、室町幕府から江戸幕府へと時代が大きく移り変わる歴史の転換期と重なっており、激動の時代を生き抜いた武士の一人として記憶されるべき人物と言えるでしょう。

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