申次衆

申次衆（もうしつぎしゅう）とは

申次衆とは、室町幕府における職名の1つで、将軍への奏聞を取り次ぐ役目を担っていました。奏者とも呼ばれ、その起源は天皇や院への奏聞を取り次ぐ役職に遡ります。

概要

申次（もうしつぎ）は、もともと天皇や院に対して奏聞を取り次ぐ人物を指していました。鎌倉幕府や室町幕府においても、この役割は将軍に奏聞を取り次ぐ人物に引き継がれました。

幕府における申次衆は、将士が将軍に拝謁する際に、その姓名を将軍に報告し、拝謁を取り次ぐ役割を担っていました。また、それに関連する様々な雑務も処理していました。

室町幕府6代将軍足利義教の頃には、伊勢氏、上野氏、大舘氏、畠山氏の4氏出身者によって申次の職が独占されるようになりました。これらの家系の出身者は、数名でグループを組み、交代で申次の職務にあたっていました。このグループを申次衆と呼び、後に御相伴衆、御供衆、御部屋衆に次ぐ家格としての意味を持つようになりました。

申次衆は、単なる取り次ぎ役ではなく、幕府内での重要な地位を占める存在となっていったのです。

歴史的背景と影響

近年では、戦国武将の先駆けとされる北条早雲こと伊勢盛時も、元々は室町幕府の申次衆の一人であったと考えられています。これは、申次衆が単なる事務的な役割だけでなく、政治的な影響力を持つ存在であったことを示唆しています。

申次衆は、将軍と家臣の間を取り持つことで、幕府の円滑な運営に貢献しました。彼らの存在は、幕府の秩序を維持し、将軍の権威を支える上で不可欠なものでした。

まとめ

申次衆は、室町幕府において、将軍への奏聞を取り次ぐ重要な役割を担った役職です。特定の家系が独占することで、幕府内での家格を形成し、政治的な影響力も持ちました。申次衆の存在は、室町幕府の政治構造を理解する上で重要な要素の一つです。

参考文献

二木謙一「申次衆」（『国史大辞典 13』、吉川弘文館、1992年）
伊藤喜良「申次衆」（『日本史大事典 6』、平凡社、1994年）

関連項目

大舘尚氏
奉公衆

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