大和流

大和流弓道とは

大和流（やまとりゅう）は、江戸時代初期の1652年に森川香山によって開かれた弓道の流派です。この流派は、単なる射法の技術にとどまらず、精神性や礼儀作法においても高い志を持つことで知られています。

歴史の背景

森川香山は、少年時代から父の道寿の下で日置流寿徳派の弓術を学びました。腕を磨くため、全国を旅して数多くの流派の名家に師事し、10年以上の間に弓技を極めていきました。大和流の系譜によると、彼は逸見流、日置流の複数の派、武田流、小笠原流などの技を修得し、それぞれの秘伝を研究したとされています。特に大坂での逸見流の指導者、熊谷直綱からも学び、彼の神道思想を受け入れることで独自の体系を築きました。これにより、儒教や仏教の思想を融合させた形になり、大和流は完成されました。

名称の由来

大和流という名称は、森川香山が「大和流弓道教訓之巻」で明らかにしています。この中で彼は、「大和は我が国の総称で、和朝の弓道の尊厳を伝えるためにこの名を用いる」と述べています。また、日置弾正に由来することや、射手の技理を問う道理を表しています。これにより、大和流は日本の弓道を象徴する流派になったのです。

射法と礼法

大和流は、射法については日置流を基にしており、特に斜面打起しに特徴があります。射の際には、足踏、胴作、弓構、すまし見所、物見、打起、引込、肘形、手の内、掛、持満、はなれの12種類の手法が詳細に分かれて説明されています。礼法については、小笠原流を参考にしていると考えられています。これにより、精神面も重要視されつつ、射技の技術が高められています。

系統の多様性

香山の長子と三男、それぞれの系統が本流として存在しています。長子信一は早期に亡くなりましたが、三男の僖凭は父の意志を引き継ぎ、島原地域で大和流を広める役割を果たしました。その後、明治時代にまで系統は継承されています。

著名な射手たち

大和流の中でも、特に宮地信貞が有名です。彼は自由民権家であり、坂本龍馬の大叔父にあたる人物で、江戸で大和流を学び、その技術を広めました。また、近代においては島原藩士の市川信光（虎四郎）が著名で、大日本武徳会の教授として活動し、伝統を受け継いでいました。

まとめ

大和流は、その歴史や教え、技術を通じて日本の弓道の発展に寄与した重要な流派です。今日でも、その教えは多くの弓道家たちに受け継がれています。

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