大坪潔

大坪潔（おおつぼ きよし）

大坪潔は、1899年（明治32年）7月21日に福岡県で生まれた、大日本帝国陸軍の軍人です。最終的な階級は陸軍少将でした。激動の昭和期を軍人として生き、そのキャリアは騎兵から航空兵へと専門分野を移し、多岐にわたる要職を務めたことが特徴です。

彼の軍歴は、1920年（大正9年）5月に陸軍士官学校を第32期生として卒業したことから始まります。同年12月には、陸軍騎兵科の少尉に任じられ、キャリアの第一歩を踏み出しました。

さらなる研鑽を積むため、大坪は陸軍大学校への入学を志し、1929年（昭和4年）に入学を果たしました。同校在学中の1932年（昭和7年）には、第44期を優秀な成績で卒業します。この陸軍大学校での教育期間は、彼の軍人としての視野を広げ、その後のキャリアに大きな影響を与えたと考えられます。特に重要な転換点となったのは、この時期に専門分野を従来の騎兵から、当時急速に発展しつつあった航空兵へと転じたことです。この転科は、当時の陸軍における航空戦力の重要性の高まりを反映したものであり、大坪のキャリアパスを大きく方向づけることとなりました。

航空兵としての道を歩み始めた大坪は、昇進を重ね、1941年（昭和16年）3月には陸軍航空兵大佐に進級します。大佐昇進後、彼は重要な指揮官や参謀、教育者としての役割を担うことになります。同年8月には、飛行第44戦隊長に任命され、部隊の指揮を執りました。翌1942年（昭和17年）8月には、母校である陸軍大学校の教官に就任し、後進の指導にあたるなど、教育者としての手腕も発揮しました。

戦況が厳しさを増す中で、大坪の任地も変化します。1944年（昭和19年）2月には北方軍参謀として、また同年3月には第5方面軍高級参謀として、それぞれ重要な参謀職を務めました。これらの役職では、戦略立案や部隊運用に関する高度な知識と判断力が求められたと考えられます。同年12月には陸軍航空審査部の部員となり、航空機や関連技術の評価・開発に関与した可能性が示唆されます。

そして、太平洋戦争の終結が迫る1945年（昭和20年）3月、大坪潔は陸軍少将に進級します。この階級で、彼は日本の敗戦、終戦を迎えることとなりました。

終戦後、大日本帝国陸軍の解体に伴い、大坪の軍人としてのキャリアは終わりを告げます。戦後の占領期には、1947年（昭和22年）11月28日には、公職追放の仮指定を受けることとなりました。

大坪潔は、士官学校、陸軍大学校を経て、騎兵から航空兵へと専門を移し、戦隊長、教官、参謀など、多様な職務を歴任しました。終戦時に少将であった彼の生涯は、明治末期に生まれ、昭和の激動期、特に第二次世界大戦期を軍人として過ごし、戦後の混乱期までを生き抜いた、一人の軍人の軌跡を示しています。1957年（昭和32年）10月8日にその生涯を終えました。

本稿の記述は、主に参照文献に基づくものであり、その軍歴の一部を概観したものです。

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