大場磐雄

大場磐雄：民俗学と考古学を融合した先駆者

大場磐雄（1899-1975）は、日本の考古学界に多大な貢献をした学者です。単なる考古学にとどまらず、民俗学や文献史学を融合させた独自の研究スタイルで知られ、神道考古学の体系化にも大きく貢献しました。その生涯と業績を、詳しく見ていきましょう。

早期の人生と教育

1899年、東京府麻布区に生まれた大場は、正則中学校時代から鳥居龍蔵に師事し、考古学への関心を深めました。1918年、國學院大學に入学。在学中は折口信夫の民俗学講義に感銘を受け、郷土研究会の中心メンバーとして活躍しました。1922年、國學院大學文学部国史科を卒業。卒業論文は、西洋史の権威である小林秀雄教授から高い評価を受けました。

教職と官僚としてのキャリア

卒業後は横浜第二中学校（現・神奈川県立横浜翠嵐高等学校）の教諭となりますが、1925年には内務省神社局考証課に勤務。宮地直一（後の東京帝国大学教授）の指導を受けながら、考古学研究を深めていきました。1928年には母方の家系を相続し、大場姓となりました。

研究と業績

大場磐雄の研究の特徴は、文献史学、民俗学、考古学の三位一体のアプローチにあります。彼は自身を「考古民俗学者」と称し、考古学的発見を民俗学的知見や歴史的文献と照らし合わせることで、古代日本の社会や文化を多角的に解明しようと試みました。この独自の視点は、神道考古学という新たな研究分野の確立につながりました。折口信夫の五博士の一人としても知られています。

代表的な著書には、『大場磐雄著作集』（全8巻）、『日本考古学概説』、『考古学』、『神道考古学論考』など多数あります。これらは現在も考古学研究において重要な参考文献として活用されています。

人物像

大場は、熱心な研究者であると同時に、豊かな人間性を持つ人物でした。学生時代から積極的にフィールドワークを行い、考古学関連の学会に所属していました。酒豪として知られ、國學院大學在学中には、クラス会で民謡や自作の絵などを披露するなど、芸達者な一面も持ち合わせていました。

後年と受賞

1948年、「祭祀遺跡の研究」で文学博士号を取得。1949年には國學院大學教授に就任し、図書館長も務めました。1970年に國學院大學を退官した後も、客員教授として後進の育成に尽力しました。1972年には学術教育文化功労で銀盃を、1975年には勲三等瑞宝章を受賞しました。同年、食道癌と胃癌のため永眠しました。

まとめ

大場磐雄は、考古学の枠にとらわれず、民俗学や文献史学を統合した独自の視点で古代日本研究を推進しました。彼の業績は、日本の考古学、ひいては歴史研究全体に大きな影響を与え続けています。その多角的なアプローチと、豊かな人間性を持った人物像は、現代の研究者にとっても大きな示唆を与えてくれるでしょう。彼の残した膨大な著作は、これからも多くの研究者によって読み継がれ、新たな知見を生み出すことでしょう。

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