大塚幸之助

大塚 幸之助（おおつか こうのすけ）

1906年 - 1987年

日本の実業家であり、プロ野球球団の経営者として知られる。東京都墨田区の出身。府立第三中学校を四年次に中退後、父が営む大塚製作所に入社した。1923年に父を亡くすと、弱冠にして同社の社長に就任する。

青年期には徴兵検査で甲種合格となり、1925年から1927年にかけて陸軍に所属した経験を持つ。本業である大塚製作所は、1935年に軍需工場の指定を受け、自動車部品や機関銃部品などの製造を手掛ける軍需産業へと転換した。しかし、1945年の戦災により工場が被災したため、千葉県松戸市へと移転を余儀なくされた。戦後の厳しい時代には、事業内容を洋傘や洋傘骨の製造へと転換し、会社の立て直しを図った。

戦後の混乱期、大塚はプロ野球界にも深く関与するようになる。1947年には、新興の国民野球連盟に加盟した「大塚アスレチックス」のオーナーに就任。同年秋には、前任者である宇高勲の後を引き継ぎ、国民野球連盟の会長として手腕を振るった。国民野球連盟が翌1948年に解散すると、大塚は日本のプロ野球リーグに参入するため、既存球団である金星スターズを買収した。この年、彼の所得は1,971万円に達し、当時の長者番付で第7位にランクインするなど、実業家としての成功を示す一面もあった。

1948年12月、金星スターズは永田雅一率いる大映野球に吸収合併されることになった。大塚は合併後の「大映野球」（後の大映スターズ）においても社長として球団経営に携わったが、1950年に退任。再び本業である大塚製作所の再建に注力したが、1953年には残念ながら会社は倒産に至った。

その後、大塚は映画界の大物であった大映社長の永田雅一の個人スタッフとして活動を続けた。永田が関与する事業において、ペプシコーラ横浜支店の支配人や東京スポーツ新聞社の専務などを歴任し、多岐にわたる分野でその経験を活かした。1962年には、建設が進められていた東京スタジアムの副社長に就任。スタジアムの運営に携わった後、1971年からは同スタジアムの代表清算人として処理にあたった。晩年には、再び東京スポーツ新聞社の監査役を務めるなど、経済界との関わりを持ち続けた。

波乱に富んだ生涯を送り、戦中戦後の激動期を駆け抜けた大塚幸之助は、1987年に81歳でその生涯を閉じた。

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