大塚日現

大塚 日現（おおつか にちげん、1879年（明治12年）11月19日 - 1957年（昭和32年）7月28日）は、日本の宗教家、法華宗本門流の僧侶。獅子吼会の創設者であり会祖として知られるほか、同宗派の第83代管長や東洋大学名誉学長といった要職を歴任した。俗名は喜代蔵。

生涯

大塚日現は、1879年（明治12年）に千葉県長生郡豊田村（現在の茂原市の一部）に農家の長男として生を受けた。幼少期には地域の寺小屋で基礎的な教育を受け、成人してからは屋根職人として働き、生計を立てていた。しかし、人生の大きな転機となったのは、母親が重い眼病を患ったことであった。母親の病気を治したいという切実な願いから、母と共に法華宗系の在家仏教集団である本門仏立講に深く関わるようになる。

母親の眼病が奇跡的に全快した後、大塚日現は鷲山寺（法華宗本門流の本山）を自身の菩提寺と定め、在家信徒として本門仏立講の教えの布教活動に熱心に取り組んだ。その尽力と布教における顕著な成果が認められ、1907年（明治40年）には在家でありながら異例のことであったが、鷲山寺の徒弟となる許可を得る。

その後も精力的に布教活動を展開し、宗教家としての道を本格的に歩み始める。そして1912年（大正元年）、鷲山寺の貫首院代を務めていた小野山日風を得度師（出家を授ける師）とし、岡野現相を得度親（得度式を取り仕切る師）として得度し、正式に法華宗本門流の僧侶となった。

しかし、僧侶となって間もない翌1913年（大正2年）、鷲山寺の寺務、すなわち寺の運営や管理に関する問題や意見の対立から、得度親である岡野現相を公然と批判するに至った。この批判が原因で、大塚日現は岡野から破門処分を受けることとなり、鷲山寺を離れることを余儀なくされた。

鷲山寺を離れた後、大塚日現は新たな活動の場を求め、東京に進出した。東京の浅草橋場町（現在の台東区の一部）に「大日本獅子吼会」を立ち上げ、ここを自身の新たな宗教活動の本拠地とした。この獅子吼会における日現の活動は、東京でも大きな反響を呼び、目覚ましい発展を遂げた。その活動は広く知られるようになり、法華宗本門流の宗内でも再び大きな注目を集めることとなった。そして、その功績が認められ、1915年（大正4年）には一度失った僧籍を正式に回復した。

僧籍回復後は、創設した獅子吼会の活動を継続しつつ、法華宗本門流の僧侶としても重要な役割を担うようになる。獅子吼会会祖としての活動に加え、本山である鷲山寺の貫首や、宗派全体の最高責任者である法華宗本門流の第83代管長といった要職を歴任し、宗門の発展に貢献した。

大塚日現は宗教活動に加え、社会活動にも積極的に関わった人物である。特に戦後間もない1950年（昭和25年）には、経営上の困難に直面し、閉校の危機にあった東洋大学に対し、多額の資金援助を行った。この大学教育への貢献が称えられ、東洋大学の名誉学長に推挙された。

また、著書として『大詔に関し田中智学君の謬論を駁す』（1924年）などがある。

大塚日現は、その波乱に満ちた生涯を通じて、宗教家として、また社会の教育にも寄与した人物として、後世に名を残している。1957年（昭和32年）7月28日に77歳で死去した。

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