法華宗本門流

法華宗本門流は、鎌倉時代に日蓮が開いた仏教の一宗派である日蓮宗の流れを汲み、室町時代初期に日隆によって開かれた宗派です。日隆は、当初、妙顕寺で修学していましたが、法華経解釈をめぐり論争となり、「八品正意論」を提唱し、妙顕寺を離れました。そして、京都に本能寺を建立し、自身の教えを広め、日隆門流の基礎を築きました。

本門流の主な特徴は、本門八品、つまり法華経の後半部分である「従地涌出品」から「嘱累品」までの八品を重視する点にあります。この八品において、釈迦仏から上行菩薩に託されたとされる本門の教えを、日蓮が再興し、その教えを日隆が受け継いだとされています。本尊は、この本門の教えの要である南無妙法蓮華経です。

歴史

法華宗本門流の歴史は、日隆が本能寺を建立した1415年に始まります。その後、戦国時代には本能寺の変という歴史的な出来事も経験しました。明治時代に入ると、政府の宗教政策により、日蓮門下の諸門流が連合し、一宗一管長制のもとで統合されました。しかし、日隆門流は勝劣派に属し、その後、八品派と公称するようになりました。その後、八品派は本門法華宗と改称しました。

第二次世界大戦中の1941年、宗教団体法により、本門法華宗、本妙法華宗、法華宗が合同し、法華宗となりました。しかし、戦後の1951年、旧本門法華宗に属していた寺院の一部が法華宗から独立し、法華宗本門流を公称するようになりました。これには、旧本門法華宗皆成派の光長寺、鷲山寺、本能寺、本興寺などが含まれます。なお、旧本門法華宗久遠派の妙蓮寺は本門法華宗として独立しました。

教義

法華宗本門流は、日蓮の教えを基本としつつ、日隆の「八品正意論」を重視しています。この「八品正意論」とは、法華経の中でも後半の八品にこそ、仏の真意が込められているという解釈です。そのため、本門流では、法華経の後半部分を特に重要視し、その教えを実践することを目指しています。また、本門の教えは、末法の世における人々を救済する力を持つと信じられています。

現在の活動

現在の法華宗本門流は、北海道から九州まで全国に教区を持ち、それぞれの地域で寺院活動や信徒の育成に励んでいます。教区は、北海道、東北、千葉、東京、東海、北陸、京都、大阪、兵庫、淡路、中国、四国、九州の13教区に分かれています。各教区は、それぞれの地域に根ざした活動を展開し、法華経の教えを広めています。

大本山

法華宗本門流には、以下の4つの大本山があります。

本能寺（京都府京都市）
本興寺（兵庫県尼崎市）
徳永山光長寺（大阪府和泉市）
長国山鷲山寺（岡山県倉敷市）

これらの大本山は、法華宗本門流の中心的な役割を果たし、宗派の歴史と教義を伝えています。また、各地の末寺を統括し、信徒の拠り所となっています。

法華宗本門流は、日蓮の教えを継承し、法華経の真髄を追求する宗派として、現代社会においても重要な役割を果たしています。

関連情報

参考資料
『法華宗宗門史』法華宗(本門流)宗務院(1988年)
関連項目
本能寺
本門法華宗
法華宗真門流
法華宗陣門流
獅子吼会
外部リンク
法華宗本門流

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