大奥 (2010年の映画)

映画『大奥』: 男女逆転の江戸時代を描いた作品

『大奥』は、2010年に公開された日本の映画で、原作はよしながふみの漫画『大奥』です。本作はTBSの協力のもと制作され、主演には人気俳優の二宮和也が起用されています。ストーリーの舞台は江戸時代。架空の疫病「赤面疱瘡」により、男性が激減し、社会が女性主導の体制に変わってしまうというユニークな設定が特徴です。著者の想像力によって築かれたこの世界では、徳川将軍家の女性たちがその地位を継承し、男性は希少な存在として「大奥」に集められます。

ストーリーの中心

物語は、若き武士・水野祐之進が女性たちに囲まれ、彼女たちとの複雑な人間関係の中で成長していく様子を描いています。水野は心優しい青年で、子供を持つことを希望する女性たちを助けるために大奥に入ります。この選択は彼にとって悲劇的な決断でもあり、幼馴染のお信との関係にも影を落とします。彼は初めは大奥でのいじめや困難に直面しながらも、徐々に重要な役割を果たすようになります。

徳川吉宗との関係

水野は、徳川八代目将軍・吉宗と出会い、その性格や行動が物語の鍵となります。吉宗は国を思う果断な女性で、彼女はしばしば独自に決断を下します。水野の真っ直ぐな姿勢と独自の美意識が、物語の中で吉宗との強い絆を築くことになります。

キャラクターの豊かさ

映画には魅力的なキャラクターが数多く登場します。お信は水野の恋人であり、彼と身分が異なるために複雑な感情を抱えています。松島や藤波といったキャラクターは、権力や野心を持つ存在として描かれ、物語に厚みを加えます。また、杉下は経験豊富な大奥の住人で、水野の良き助言者となります。

映画化への道のり

『大奥』は約5年前から映画化の計画が進められていました。当初から柴咲コウを吉宗役に希望する声があり、原作者もその実現を望んでいました。撮影は東映京都撮影所で行われ、名所や歴史的な建物を利用してリアリティを持たせています。制作陣は時代劇の技術の継承を重視し、シーンごとにこだわりを持って撮影に臨みました。

興行成績と受賞歴

本作は興行的にも成功し、初週での興行収入は約4億円を超えました。視聴者の評判も良く、日本アカデミー賞では優秀美術賞を受賞するなど、話題を呼びました。また、続編としてテレビドラマの制作や映画の続編も計画されています。

まとめ

男女の位置が逆転した新しい歴史観を持つ『大奥』は、単なる愛憎劇に留まらず、社会についても考えさせられる要素を多分に含んでいます。魅力的なキャラクターや緻密なストーリー展開によって、観客を惹きつけ続けています。この作品は、これからも多くの人に親しまれることでしょう。

もう一度検索